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欧州中銀、低格付け債も担保に コロナでの格下げに備え

【ベルリン=石川潤】欧州中央銀行(ECB)は22日、臨時の政策理事会を開き、銀行に資金供給する際に必要な担保の基準を緩めることを決めた。現在担保として認めている債券であれば、通常の基準以下に格下げされても引き続き担保として認める。新型コロナウイルスの感染拡大でイタリア国債の格下げ懸念が浮上しており、金融システムの動揺を未然に封じ込める狙いがある。

ECBのラガルド総裁(右)とドイツのショルツ財務相(2月にブリュッセルで)=ロイター

ECBは銀行に低利の資金を大量に供給し、金融システムの安定を支えている。この際に銀行は国債や社債などの担保を用意する必要があり、ECBはこれまで格付けが投資適格とされるトリプルBマイナス以上であることを条件としてきた。

だが、新型コロナの感染拡大の影響で各国の財政や企業の財務が大きく悪化すると見込まれるなか、従来の基準にこだわっていては担保と認められなくなる債券が続出する恐れがあった。市場では銀行が担保不足になったり、こうした債券の売却を急いだりして混乱に拍車がかかる事態を懸念する向きがあった。

ECBは今回、4月7日時点で基準を満たしている債券であれば、その後格下げがあってもダブルB格以上にとどまる限り、引き続き担保として認めると決めた。2021年9月までの時限措置だが、投資適格外の低格付け債「ジャンク債」を担保にする異例の措置に踏み込んだといえる。

背景にあるのが、イタリア国債利回りの不安定な動きだ。イタリアはコロナ封じ込めのために経済活動が大きく停滞しており、経済対策や税収の減少などで財政の大幅な悪化が避けられない情勢だ。10年債利回りもじりじりと上昇(価格は下落)していた。

ECBが3月18日に7500億ユーロ(約90兆円)の資産を追加購入すると決めたことでいったんは利回りが低下したが、足元では再び上昇圧力が高まっていた。比較的健全なドイツ債との利回り格差もじりじりと広がり、市場が次の一手を催促し始めていた。

米格付け大手S&Pグローバル・レーティングはイタリア国債の格付けをトリプルBとしており、24日に格付けが更新される予定だ。内容次第で市場が一気に緊迫しかねないことも、ECBの背中を押したとみられる。

本来であれば、イタリアなどの財政の健全性を維持するのは、当該国と欧州連合(EU)の財政政策の問題だ。イタリアだけで解決できなくとも、EU全体で支える姿勢を鮮明にすれば、格下げや利回り上昇などのリスクを抑えられる。

だが、EUは必ずしも一枚岩になっていない。EUは23日に首脳会議を開いてイタリアが求めるユーロ共同債(コロナ債)の発行の是非などを議論する見通しだが、ドイツやオランダなどはこれまで慎重な姿勢を示してきた。実際に認められるのか、認められたとしても十分な金額が示されるのかは依然として予断を許さない。

ECBは22日の声明文で「必要に応じて追加の手段を講じる可能性がある」と表明した。ECBは30日に定例の政策理事会を予定しており、これまでの政策が十分な効果を発揮しているか、追加措置が必要ないかを慎重に判断する構えだ。

新型コロナによる経済への悪影響を最小限にとどめるためにも、金融システム機能の維持は最重要の課題だ。今後も財政政策が十分機能せず、ECBの金融政策頼みが続くとすれば、先行きには危うさも残る。

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