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バイト先が閉店・休業 学生生活ピンチ

新型コロナウイルスの感染拡大でアルバイト先が閉店したり休業したりして、苦境に立たされる学生が出てきている。学生団体の調査では6割の学生がバイトの収入が減ったと回答した。学生は原則として雇用保険に入れず、今後、生活費や学費を捻出できないケースが増える恐れもある。専門家は、国や大学が支援に動く必要性を指摘している。

「まさかバイト先が潰れるとは」。東京都内の公立大3年の男子学生(20)は3月末、バイト先の飲食店店長の電話に耳を疑った。新型コロナによる売り上げ減で閉店すると告げられた。

奨学金を学費に充て、生活費や家賃は月7万円のバイト代と秋田の親からの仕送り5万円で賄ってきた。慌てて衣料品店の求人に応募したが、緊急事態宣言を受けてその店も休業に。「就活用にためた貯金だけは切り崩したくない」と食費を切り詰めてしのいでいる。

学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」が4月9~21日に行った緊急調査では、全国の大学生ら514人の6割が新型コロナによって「アルバイトの収入が減った」「なくなった」と回答した。親の収入や自身のバイト代の減少により、13人に1人が大学などをやめることを検討しているという。

大半の大学では4~5月が2020年度前期の授業料などの納期に当たり、同団体は「お金を用意できない学生もいる。国は対策を急いで」と求める。

近年、学生の「バイト依存度」は高まっている。文部科学省によると、18年度の年間授業料は国公立大で約53万円、私立大で平均約90万円。いずれも30年間で1.6倍に上昇した。一方、全国大学生活協同組合連合会の19年秋の調査では、下宿生の7%が仕送りゼロ。収入に占めるバイト代の割合は、過去50年間で最大の25%となった。

学生の労働者としての立場は弱い。雇用保険法で学生は雇用保険の加入対象外とされており、バイト先が倒産しても失業保険を受け取ることはできない。

新型コロナに伴う休業などで仕事を休ませる場合、企業は本来、学生バイトを含む従業員に休業手当を払う義務がある。だが労働問題の相談窓口には「学生だから出さないと言われた」との声も届いているという。

返済不要の給付型奨学金を支給する「修学支援制度」が4月からスタートし、文科省は新型コロナでバイト収入が減った学生の申し込みも受け付けている。

明治学院大は4月21日、新型コロナの影響で困窮する学生を支援するため、奨学金制度や学費の延納措置といった対策を取ると発表した。

労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」の渡辺寛人事務局長は「ギリギリの経済状態で学生生活を続けてきた人たちが一気に窮地に立たされている。学費や家賃の免除など、国や大学は学生生活を支える具体策を進めてほしい」と話している。

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