欧州でワクチン臨床段階 英大は秋にも接種

2020/4/23 1:31 (2020/4/23 6:53更新)
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世界各地でワクチンの開発が進む=ロイター

世界各地でワクチンの開発が進む=ロイター

【ロンドン=佐竹実】欧州で、新型コロナウイルス向けのワクチンの臨床試験が相次いで始まる。ドイツ政府が22日に臨床試験の許可を出したほか、英国のオックスフォード大学は試験を経て早ければ今年秋にも大量生産し接種を始める考えだ。政府も特例措置で規制を緩和するなどして後押しする。米中でも臨床試験が始まり開発競争の様相を呈しているが、効能や安全確保が課題となる。

英オックスフォード大は23日、新型コロナ向けワクチンの臨床試験を始める。18歳~55歳の計510人に投与して効果を確かめる。最終的に5000人程度まで対象を増やす。治験の段階で生産を同時並行で始めるなどして、開発時間を短縮する。

■オックスフォード大、100万回分の生産目指す

同大は「最も楽観的なシナリオで変更はあり得る」とした上で、秋にも大量生産を始めるとしている。世界の製薬業者などと連携して当面は100万回分の生産を目指す。ハンコック保健相は21日、同大に2000万ポンド(約27億円)の助成金を出すと表明した。

ドイツ政府は22日、国内初となる新型コロナのワクチンの臨床試験を許可したと発表した。ドイツのバイオテクノロジー企業であるビオンテックと米大手ファイザーが開発したワクチンで、約200人に投与する計画だ。スイスのベルン大学もワクチンを開発中で、10月の国民への接種を視野に入れている。

通常、ワクチンは安全性を確かめるための十分な臨床試験が求められ、開発には10年程度かかる。だが新型コロナは世界で感染拡大に歯止めがかからず、数少ない予防策であるワクチンの開発には大きな期待がかかっている。そのため政府は規制緩和など特例措置を出すことで、早期開発の後押しをしている。

英政府は17日、「ワクチン・タスクフォース」を立ち上げた。大手製薬会社や大学と連携し、開発に資金援助もする。治験の迅速化のために規制も見直して柔軟に対応する。臨床試験の申請について1週間程度で認可を出すほか、新型コロナに関する臨床試験が他のワクチンよりも優先される見通しだ。

世界保健機関(WHO)によると、世界で70近くのワクチンの開発が進んでいる。米国と中国ではすでに臨床試験が始まっており、各国政府や製薬大手が開発と実用化を急いでいる。だが、一般的にワクチンはまれに副作用があるほか効かない場合もあるなど、必ずしも万能ではない。今回は新型コロナ対応で従来よりも臨床試験の期間が短い中、安全性をどう確保するのかが課題となる。

■他の感染症ワクチンへの影響懸念

新型コロナのワクチン開発や接種に集中することで、他の感染症への対策がおろそかになる可能性も指摘されている。

国連児童基金(ユニセフ)は13日、麻疹のワクチン接種を受けられない子供が37カ国で1億人以上に上る可能性があるとの試算を示した。新型コロナの対応で医療現場が混乱し、ワクチン供給が滞る恐れがあるためだ。WHOによると、麻疹はワクチンを2回摂取していればほぼ確実に感染しない。ただワクチンが行き届いていない国は多く、2018年には乳児や子供を中心に14万人が死亡した。

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