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福島・葛尾村で養鶏が再開 行政と連携し新鶏舎

東京電力福島第1原子力発電所事故で一時全域が避難指示区域となった福島県葛尾村で、最新設備を備えた養鶏場が稼働した。原発事故前に4戸あった養鶏農家はすべて廃業。村外の事業者が村などと連携し、跡地に鶏舎を復活させた。

大笹農場は鶏舎にブロイラーのヒナを運び入れた(18日、福島県葛尾村)

大笹農場(同村、高橋良行社長)が村内2カ所で事業を始めた。このうち1カ所に18日、ブロイラーのヒナ約1万8000羽を初めて搬入。5月中旬まで追加し、2カ所合わせて約10万羽に増やす。5月20日ごろ、出荷を始める。

大笹農場の高橋良行社長(18日、福島県葛尾村)

高橋社長の息子で農場長の憲司さん(33)は「当初はもう少し早く稼働する予定だった。やっとヒナが入り安心した」。福島県伊達市出身の憲司さんは事業開始に向けて2019年4月に葛尾村に移住。「村民に協力してもらった。恩返ししたい」と意気込む。

2カ所はいずれも原発事故で廃業した鶏舎の跡地。村が国の「福島再生加速化交付金」8億円を使って1棟約900平方メートルの鶏舎6棟などを新設し、大笹農場が借り受けた。舎内の温度管理や餌やりはコンピューター制御で自動化した。

鶏ふんは燃やし、鶏舎の床暖房の燃料にする。近隣の双葉郡の農家から飼料米を仕入れ、鶏ふんの灰を肥料として売る「耕畜連携」の循環型農業を掲げる。

葛尾村は標高が高く真夏でも日中の気温が比較的低いため、鶏の飼育に適しているという。村内での養鶏業は原発事故で一時途絶えたが、鶏肉の生産・加工・販売の伊達物産(伊達市)が18年10月、新設した鶏舎で再開させた。

大笹農場は17年7月に設立。農林中央金庫などが設けた投資会社が創業資金として3000万円を出資した。生産したブロイラーは伊達物産に販売し、年商3億円を目指す。新型コロナウイルスの感染が拡大する中での船出となったが、高橋社長によると、ブロイラーの需要は量販店向けなどで増えているという。

葛尾村は原発事故後、全域が避難指示区域となり、16年6月、帰還困難区域を除いて避難指示が解除された。20年4月1日時点で人口の約3割に当たる420人が村内で暮らす。憲司さんは「人は減ったが、事業を通じて村が少しでも元気になってくれたら」と話している。

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