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中国、中小銀支援へ低金利策 銀行間金利は過去最低

【上海=張勇祥】中国が中小銀行の経営を支えるため銀行間金利の低下を促している。翌日物は16日に0.70%と過去最低を更新、9カ月物や1年物も低下が目立つ。銀行間金利の形成には金融当局の影響力が残る。預金を集める力が弱い中小銀行を支援すると同時に、新型コロナウイルスの打撃を受けた企業や個人への資金供給を保つ狙いがある。

中小規模の銀行では高い金利で預金を集めるケースが多い(厦門国際銀行の上海市の支店)

中国には2019年末時点で4600の「銀行業金融機構」が存在する。うち農村商業銀行など農村部で展開する銀行は3900ほどある。中堅規模の銀行が多い都市商業銀行と合わせると総資産は76兆元(約1170兆円)に達し、銀行業全体の4分の1を占める。内陸部の中小、零細企業や個人に資金を流し込む役割を担う。

銀行同士は日々、それぞれの過不足に応じて資金を融通し合っている。中国では資金の潤沢な国有大手などが出し手、中小規模の銀行が取り手に回ることが多い。銀行間金利は翌日物が19年末に比べ1%近く下がり、07年に算出を始めてから最も低い水準にある。1年物も1.7%を割り込んで過去最低をつけており、19年末に比べ1.4%も低下した。

銀行の実際の調達金利も下がっている。大手地銀の天津銀行が8日に発行した期間3カ月の同業存単(譲渡性預金に相当)は利回りが年率1.4%と、12月27日発行分(2.9%)に比べ半分以下に下がった。

中国全体でみても、3月に発行された3カ月物の同業存単は利回りが平均で年2.2%と、12月の3.4%弱より1.2%ほど下がった。中小規模の銀行では期間3年で3~4%台といった高金利で預金を集めるケースが今も残る。市場での調達金利の低下は銀行の収益を下支えする。

銀行間金利の低下は「当局主導とまで言えなくとも、促しているのは確か」(外資系銀行)との声がある。基準となる上海銀行間取引金利(SHIBOR)は商業銀行18行の報告を基に中国人民銀行(中央銀行)が算出する。18行には中国銀行など国有銀行や政府系銀行が多く並び、当局の意向を反映しやすい。

人民銀は3、4月と一部の銀行を対象に、強制的に預かるお金の比率を示す預金準備率を引き下げた。銀行に資金を供給する際の金利も下げている。「当局の意向と金融緩和の効果が重なって、金利低下につながった」(大手銀行)という。

銀行間金利の低下は、新型肺炎の影響を受けた企業や個人への融資を促す効果がある。人民銀が10日発表した1~3月の銀行融資額は7兆1千億元に達し、前年同期比で2割以上も増えた。

政策金利である最優遇貸出金利(ローンプライムレート)は1年物が3.85%で、20年に入ってからの低下幅は0.3%だ。新型肺炎に関連する融資では優遇金利を提示する銀行が多いが、金利の低下で利ざやを確保しやすくなっている。

地方で資金の根詰まりを防ぐため、習近平(シー・ジンピン)指導部は中小銀行の直接的な支援も強化している。19年に国有銀行を通じ事実上救済した遼寧省の錦州銀行に対し、人民銀は3月末までに330億元を融資した。政府系の資産管理会社は額面1500億元の不良資産を買い取ってもいる。金融市場を通じた淘汰より、金融システムの安定を優先する。

世界の中央銀行は前例のない資金供給に乗り出している。米連邦準備理事会(FRB)は格付けが下がった企業の社債購入や間接融資などを通じ、2兆3千億ドル(約250兆円)を供給する。英中銀は英政府に短期資金を直接融通する。

中国は他の先進国と異なり名目ベースの金利が残っており、「金利と量」を組み合わせた施策が可能だ。実質的な利下げと、銀行を通じた融資拡大、信用補完が金融政策の主力になっている。

ただ、中国でも「金利蒸発」が徐々に近づくなど、金利の下げ余地は乏しくなりつつある。米欧、日本などと同様にゼロやマイナス金利に近づいた場合、中国でも金融政策に新たな枠組みが求められることになる。

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