「日本一楽しいスーパー」へ 佐竹食品 梅原一嘉社長
未来像

2020/4/22 2:01
保存
共有
印刷
その他

うめはら・かずよし 1975年大阪府吹田市生まれ。94年佐竹食品入社。精肉部門主任や店長などを経て、2007年社長。20年3月期の売上高は約650億円で過去最高を更新した。フランチャイズ契約で「業務スーパー」やフィットネスクラブも展開。

うめはら・かずよし 1975年大阪府吹田市生まれ。94年佐竹食品入社。精肉部門主任や店長などを経て、2007年社長。20年3月期の売上高は約650億円で過去最高を更新した。フランチャイズ契約で「業務スーパー」やフィットネスクラブも展開。

■関西を中心にスーパーマーケットを約40店展開する佐竹食品(大阪府吹田市)が「日本一エンゲージメントが高い企業」として注目されている。「エンゲージメント」とは社員の意欲や会社への期待度を表す言葉。同社は人材コンサルのリンクアンドモチベーションの「ベストモチベーションカンパニーアワード」で3年連続で1位に選ばれた。梅原一嘉社長(44)が目指すのは「日本一楽しいスーパー」だ。

2007年に父(梅原富雄会長)から社長を継いだ。父のカリスマ性はすごい。「カラスは白い」と父が言えば社員も「白い」と合わせるような感じ。「精度の良いどんぶり勘定」ができたので、感覚で指示を出せる人だった。

当時私は31歳で、店長も全員年上。「みんなを納得させるためには数字で語れるようにならないとだめだ」と思い、社員のやる気を数値化するエンゲージメント調査を実施した。結果は最悪。エンゲージメントはA~Eの5段階で評価されるが、会社全体の評価は全国平均以下。精肉や鮮魚など各店の部署を見るとE評価も多かった。

E評価の部署を回って分かったのは各従業員に不満があり、誰が正しいか判断できないということだ。だからその部署は即日解散し、全員を異動させた。なぜ全員か。1人を別部署に移すと残った従業員は「しめしめ」と思ってしまうし、移った人は異動先から「何か問題を起こしたのか」という目で見られてしまうためだ。

「日本一楽しいスーパー」を目標に掲げ、理念をまとめた冊子も作った。売り上げ以外の目標を作ったことでスコアも上がった。Aスコアの部署の割合は12年は18%だったが直近は77%になった。Eスコアの部署もいまはない。

各店舗では定期的にイベントを開催(現在は休止中)

各店舗では定期的にイベントを開催(現在は休止中)

■来店客を満足させる工夫も光る。

大手小売りは本部が商品を一括仕入れするが、うちは各店にそれぞれバイヤーを置いている。個人の趣味嗜好が多様化するなかで、お客様がほしいものを店ごとに考えて並べる戦略だ。例えばパイナップルがすごく売れる店もある。従業員一人ひとりが考えて個店対応している。

新型コロナウイルスの影響で休止しているが各店舗で月1回程度、金魚すくいや輪投げなどのイベントを開いている。各店に3万円を支給し、若手に自由に企画させて自分で解決する「考える筋肉」を鍛えている。

従業員の接客に力を入れている(19年撮影)

従業員の接客に力を入れている(19年撮影)

■新型コロナでスーパーの業界環境は激変している。

2月後半から販売数が伸び、物流が追いついていない。レジ打ちや品出しの仕事も増え、従業員の負担が大きくなっている。スーパーの仕事は人と接するため感染リスクも高いが、テレワークは絶対にできない職種。文句を言わず、誇りを持って働いてくれている従業員のことは最優先に考えたい。負担減のため営業時間を短縮し、正社員には2万円、パートタイマーには1万円のボーナスを支給した。

新型コロナでライフラインとしての意義が見直され、今ほどスーパーが注目されたことはない。ただ、こんな形で注目されるのは残念。本来なら僕らの方からスーパーの価値を高めていきたかった。スーパーは不人気産業。どうしても下に見られがちだが、そのイメージを変えていきたい。時給も今は1100円弱だが、もっと上げていきたい。人手不足だからではなく、それだけ大切な仕事だと伝えていきたいからだ。

大阪は商人の町だ。だからこそ商売に特化して盛り上げていきたい。スケールメリットや仕組みづくりで戦う大手小売りもあるが、大阪でもっと「商売人」が増えて、接客で競い合い、お互いが高め合うようになればうれしい。(聞き手は平嶋健人)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]