中部の対中輸出に回復の兆し、工作機械は2カ月連続増

2020/4/21 19:30
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中部の中国向け輸出の一部が復調している。名古屋税関が21日発表した3月の管内貿易概況によると、対中自動車輸出が前年同月比36%増えた。新型コロナウイルスの感染が終息しつつある中国で自動車需要が回復し、トヨタ自動車などは対応を急いでいる。工作機械の輸出も2カ月連続で増えるなど、中国の生産活動再開の影響が中部企業にも広がり始めた。

自動車運搬船の前には、積出を待つ新車がずらりと並んでいた(16日、愛知県東海市のトヨタ自動車東海センター)

自動車運搬船の前には、積出を待つ新車がずらりと並んでいた(16日、愛知県東海市のトヨタ自動車東海センター)

管内の中国向け輸出は全体だと15%減の2168億円だった。2カ月ぶりの減少で、化学製品や電子部品などが落ち込んだ。一方、自動車は大幅に伸び36%増の143億円と2カ月ぶりにプラスに転じた。工作機械が中心の金属加工機械は1%増の107億円だった。

中部にはトヨタ自動車グループと取引先の工場が集積する。工作機械もヤマザキマザックなど世界トップクラスのメーカーが多い。中国向け輸出の復調が続けば、工場の稼働率を底上げして雇用などの面で地域経済を下支えする。

4月中旬、名古屋港のトヨタ自動車東海センター(愛知県東海市)に巨大な自動車運搬船が接岸した。センターには中国などに出荷する何百台もの新車がずらりと並んだ。中国では公共交通機関を利用することに不安もあり、自動車への関心が高まっている。

中国にあるトヨタの4工場は2月上旬にすべて停止したが、同月中旬から段階的に再開し、3月末に正常稼働に戻った。「中国の工場はフル稼働だが、一部で販売に生産が追いつかない」(トヨタ関係者)という。日本からの輸出拡大で現地生産でまかないきれない分を補う構えだ。

中国での自動車生産の回復は、自動車部品メーカーの中国向け輸出にプラスに働く。ある中部の部品メーカーの2月の受注は計画比で半減したが、4~6月は計画を1~2割ほど上回りそうだという。「中国でのトヨタ向け受注は回復基調だ」と説明する。デンソーも「自動車各社の生産再開に伴い、中国への部品輸出は順調に戻りつつある」とする。

受注動向が景気の先行指標とされる工作機械でも中国市場の復調の兆しが見えつつある。

ヤマザキマザックは中国からの受注が2月は前月との比較で落ち込んだが、3月は増加した。「新型コロナの影響で止まっていた商談が動き始めた」といい、現在、中国工場は休日出勤で対応している。

業界団体の日本工作機械工業会が21日発表した3月の工作機械受注額でも中国からの受注は2月を上回り、2カ月ぶりに100億円台を回復した。

DMG森精機は中国工場の稼働率が、新型コロナの影響が出始める前の8割ほどの水準に持ち直した。先行き不安から投資をためらう顧客は少なくないが、「医療や半導体関連などの業種で徐々に動き始めている」という。

中国向けに明るさが出始めた一方、欧米向けは底入れが見えない。中部の3月の米国向け輸出は19%減の4025億円、欧州連合(EU)向けは19%減の2024億円だった。米国向けは8カ月連続、EU向けは4カ月連続のマイナスだ。米欧向けの落ち込みが響いて中部全体の輸出額も14%減と2月から6ポイント下落率は広がっている。

米欧経済が上向かないと、米欧に製品を輸出して成長してきた中国経済の本格回復は見通せない。中部の工作機械メーカーからは「中国が中長期で復調を維持できるかは米欧の先行き次第だ」との声もある。

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