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産油国に信用リスク、格下げ相次ぐ 米銀は債権売却も

【ドバイ=岐部秀光】新型コロナウイルスの感染拡大にともなう原油安で、一部の中東アフリカ産油国の信用にかげりが出ている。格付け会社は、原油の販売に歳入の多くを頼る産油国の格付けを引き下げた。米有力銀行が産油国向けの貸付金の債権を転売しようとしていることも表面化した。新型コロナ危機が、消費国の石油離れをうながす一方、資金難に直面する産油国は「脱石油」の改革を進めることが難しくなる可能性がある。

原油安は財政が脆弱な産油国を直撃した(イラク南部の油田)=ロイター

米S&Pグローバルは3月、ナイジェリアの信用格付けを「投資不適格」へと引き下げた。メキシコ、アンゴラ、エクアドル、オマーンも格下げとなった。米原油先物がはじめてマイナスを記録するなど、4月に入っても原油安には歯止めがかからず、産油国に対する投資家の評価は一段と厳しくなっている。

生産コストが高く、経済が原油頼みとなっている国は特に打撃が大きい。イラクは歳入の9割を原油の販売に依存する。現在の原油価格では公務員給与の半分も支払うことができない。

石油輸出国機構(OPEC)盟主のサウジアラビアやロシアは格下げを免れているが、両国とも財政の悪化は確実。今後の資金調達は条件が悪化する可能性がある。国際通貨基金(IMF)によると、中東アフリカ産油国の外貨準備は2019年で14カ月分の輸入をまかなえる水準だったが、21年には9カ月分に減る。

財政が健全な産油国も市場環境が良好なうちに資金を確保しようと、駆け込みで債券を発行している。カタールは4月、期間が5年、10年、30年の国債を発行して合計100億ドル(約1兆700億円)を調達した。アラブ首長国連邦(UAE)も70億ドルを調達した。

通貨を米ドルにペッグ(固定)する湾岸アラブ産油国の債券の金利は米長期金利にプレミアムを乗せて決まる。新型コロナ危機への対応として米連邦準備理事会(FRB)が無制限に国債を買い入れて金利を抑え込んでおり、米長期金利は低水準で推移している。

ロイター通信によると、米大手金融機関のJPモルガンは、サウジアラビアとUAEの政府系ファンド向けの融資を第三者に転売することを検討する。サウジのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)向けの23年に返済期限をむかえる貸付金5000万ドル以上を額面から1.25%安く、ムバダラ向け7000万ユーロも1%安く売ることを検討している。

JPモルガンは、サウジ国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)にも深く関わっている金融機関。歴史的にもサウジとの関わりが深いが、貸し出しのリスクを冷静に吟味しているもようだ。

PIF向けの融資は18年に世界の有力銀行で実施した協調融資の一部とみられる。日本の3メガ金融グループもサウジなど湾岸産油国に多額の債権を抱えている。

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