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アルゼンチン債務再編、再交渉へ 米欧投資家が政府案を拒否

【サンパウロ=外山尚之、ニューヨーク=宮本岳則】事実上のデフォルト(債務不履行)に陥っている南米アルゼンチンの債務再編を巡り、米欧の機関投資家は20日、政府案を拒否した。5月下旬の期限に向けて条件を再交渉する。新型コロナウイルスの影響による経済縮小がアルゼンチンを襲うなか、債権者団とのせめぎ合いが続きそうだ。

アルゼンチン大統領府(ブエノスアイレス)

「提案は支持できるものではない」。2016年以降に発行されたアルゼンチン国債の25%以上を保有する米ブラックロックや米フィデリティなどで構成する債権者団は20日、アルゼンチン政府の債務再編案の受け入れを拒否した。米欧の機関投資家は3グループに分かれてアルゼンチン政府との交渉に臨んでいるが、20日までにそろってノーを突きつけた。

世界的な金利の低下で運用環境が悪化するなか、アルゼンチンのマクリ前政権は2017年に表面利率7.125%の100年債を発行するなど、高利回りで投資家を引き付けてきた。しかし、干ばつによる農業部門の大幅な生産減や通貨ペソの急落で財政難に陥った。

19年12月に発足した左派のフェルナンデス政権は前政権下で膨張した約3200億ドル(約34兆円)の政府債務について「持続不可能で、払えない」と主張。新型コロナを理由に約662億ドルの債務について、利払いの62%の削減や3年間の支払い猶予といった再編案を提示していたが、金利減免幅が大きく「投資家が受け入れられない条件」(JPモルガン・チェース)だった。

最大の債権者である国際通貨基金(IMF)は、再編に応じる条件として、利回りを求めて高リスクのアルゼンチン国債に群がった民間投資家が「痛み」を受け入れるよう求めている。正式なデフォルトを回避するという点では、アルゼンチン政府と債権者団の利害は一致している。

そもそも、今回の政府提案は交渉時間を得るための戦術にすぎないとみられている。交渉を口実に22日に控えている国債の利払いを回避し、1カ月間の猶予期限(グレースピリオド)の間に交渉を決着させる狙いだ。

01年のデフォルトではヘッジファンドからの訴訟で泥沼状態に陥ったアルゼンチンだが、今回再編対象となっている国債には「集団行動条項(CAC)」が付与されている。

交渉で債権者の一定の賛成を得られれば、全体の合意として、強制的に債務再編を進めることができる。少数のヘッジファンドなどが訴訟を起こして再建を妨害するのを防ぐ仕組みで、債務再編の難易度そのものは当時に比べ低いとされる。

アルゼンチン政府にとっての最良の筋書きは交渉で妥協点を見いだし、当面の利払いの負担を軽減した上で経済の回復を待つというものだ。

もっとも、こうした戦術は新型コロナで厳しくなった。感染拡大のための経済封鎖で20年の国内総生産(GDP)は5%以上収縮する見通しだ。原油価格の下落により、シェールオイルやガスの開発による財政・経常収支の改善というもくろみは大幅に狂っている。債務再編条件や財政健全化の道筋の明確化などが焦点になる中、不透明感は強い。

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