緊急事態でも営業継続 店員らの負担重く、新型コロナ
生活必需品販売の現場

2020/4/21 15:47
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マスクを求め、開店したドラッグストアに並ぶ人たち(8日、東京都新宿区)

マスクを求め、開店したドラッグストアに並ぶ人たち(8日、東京都新宿区)

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言以降も営業を続けているスーパーやホームセンターなどの生活必需品を販売する現場で、働き手の負担が強まっている。宣言発令から21日で2週間。増加する客への対応や、感染リスクで精神的な負荷も増している。もともと人手不足の業種が多く、専門家は、営業を維持するために「従業員のケアが必要」と指摘している。

「仕入れ担当の私が休めば棚が空っぽになる。踏ん張らないと」。東京郊外のスーパーに約40年勤めてきた男性店長(60)は4月上旬、疲れた様子で話した。7日に政府が緊急事態宣言を発令した7都府県で、スーパーは休業要請の対象外。むしろ客足は一時、倍以上に増え、買い上げ点数も2~3割増えたという。

もともと忙しい時間帯はギリギリの人数で回していたが、最近はレジに長い列ができ、品出しや仕入れ調整に手が回らない。「地域の買い物を支える一心で働いてきたが、終わりが見えず心が折れそうだ」と漏らす。

マスクを求めて開店前から連日10人以上が列を作る大阪市内のドラッグストア。マスクの仕入れは週3回で、日によっては開店時も在庫がないことを看板などで周知するなどして客からの問い合わせに対応している。こうした状況が2カ月近く続くことに女性店員は「正直疲れた」とこぼした。

小売の業界団体関係者は「客への問い合わせ対応に労力を割かれて、他の業務に支障が出ている」と消費者に配慮を求める。別の業界関係者も「飲食店などの休業補償が話題だが、営業を継続している業種もサポートが必要だ」と訴える。

感染リスクもストレスの要因になっている。大阪市内のホームセンターはDIYのために資材を買う客が増え、週末は家族連れで混雑することも。飛沫感染を防ぐため、レジ前に透明のビニールシートをつるしたが、担当者は「営業を続けて店で感染者が出たら大変」と神経をとがらせる。

店頭の商品を支える物流業者の負担も大きい。食品輸送のTAKAIDOクールフロー(東京・杉並)は都内で外出自粛が呼びかけられた3月下旬に冷凍食品やパスタなどの輸送量が通常の2.5倍になり、その後も高止まりが続く。

トラックの台数を増やし、積みきれない分は商品を2回に分けて運ぶ。事業本部の責任者は「残業もお願いせざるを得ず、ドライバーの負担は重い。長期化で物流が機能しなくなるリスクはある」と心配する。

小売業や運送業はもともと人手不足が深刻な業種だ。厚生労働省によると、2月の有効求人倍率は「商品販売の職業」(2.54倍)もトラック輸送を含む「自動車運転の職業」(3.01倍)も、いずれも全体(1.38倍)を大きく上回った。

人材・労働分野に詳しい日本総合研究所の山田久副理事長は「食品などの物流・販売が滞り、高齢者らが買い物難民となれば社会不安につながりかねない」と指摘。「人手不足をすぐに解消するのは難しいが、店内の感染予防策の徹底や人繰りがつかない業務のサポートなど、行政や業界団体は対策を急ぐ必要がある」と話している。

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