岩手など津波30メートル弱想定 日本・千島海溝地震
内閣府有識者委

内閣府の有識者検討会は21日、北海道から東北の太平洋沖に連なる日本海溝と千島海溝周辺を震源域とする巨大地震の想定を公表した。最大規模をマグニチュード(M)9クラスとし、北海道や岩手県に最大30メートル弱の津波が押し寄せると推計した。政府は今後、中央防災会議に設ける作業部会で人的被害や被害軽減策を検討し、2020年度中の取りまとめを目指す。

政府は06年、同震源域で起こる地震の最大規模をM8.6、死者約2700人とする被害想定を公表したが、東日本大震災後の15年から見直しを進めていた。政府の地震想定は各都道府県が策定する浸水想定や警戒区域指定の基準となるため、各自治体は防災対策の見直しを求められそうだ。
今回の想定では、北海道から岩手県までの沿岸部に堆積した過去6千年間の津波の痕跡などを基に、起こりうる地震の最大規模を日本海溝の三陸・日高沖でM9.1、千島海溝の十勝・根室沖でM9.3と推定。北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の7道県を対象に、同規模の地震が起きた場合の津波の高さなどを予測した。
各地の最大の津波の高さは岩手県宮古市で29.7メートル、北海道えりも町で27.9メートル、青森県八戸市26.1メートル、福島県南相馬市19.0メートル、宮城県気仙沼市15.3メートル、千葉県旭市6.6メートル、茨城県北茨城市6.5メートルだった。
東京電力福島第1原子力発電所が立地する福島県双葉町では最大13.7メートルの津波が到達するとしたが、具体的な浸水予測のデータは示さなかった。
津波の到達時間については、下北半島の北東部にある青森県東通村で、発生から19分後に9.8メートルの津波が到達すると予測。北海道東部の釧路町では30分後に18.8メートル、福島県大熊町には1時間5分後に12.6メートルの津波が押し寄せるとした。宮城県内の想定には大震災前の地形データなどが用いられているため「現状とは必ずしも一致しない可能性がある」としている。