英実業家ブランソン氏「政府支援を」 傘下航空が窮地

【ロンドン=篠崎健太】英ヴァージン・グループ創業者のリチャード・ブランソン氏は20日、新型コロナウイルスによる運航停止で苦境に陥っている傘下の英航空大手ヴァージン・アトランティックについて「政府の支援が必要になる」と表明した。融資が受けられなければ存続にかかわるとの認識を示し、雇用や航空インフラを守るための金融支援を急ぐよう、英政府に改めて求めた。
1984年創業の同航空はヴァージン・グループが51%、米デルタ航空が49%出資している。大西洋間が主力で売上高の約7割を米国路線が占めるが、新型コロナで貨物便を除く大半の運航が止まり、資金繰りが窮地に立たされている。
ブランソン氏はグループ従業員向けの書簡を公開し、この中で「50年にわたりビジネスの世界に身を置くなかで最大の難局だ」と吐露した。「ヴァージン・アトランティックの存続へできることは何でもする」と強調したうえで、政府に求めている融資が不可欠だと説明した。
英メディアによると、ヴァージン側は5億ポンド(約670億円)の貸し付けを英政府に求めているものの、現時点で実現していない。ブランソン氏は当面の運転資金を確保するため、英領バージン諸島に個人所有する島を担保に借り入れを行うことも明らかにした。
一方、同日にはヴァージン・グループが10%出資するオーストラリア航空2位のヴァージン・オーストラリアが、経営破綻の手続きに入ると現地メディアで報じられた。公開書簡の中では同社の状況について「生き残りへ素晴らしいチームが奮闘している」と触れた。破綻すれば「(豪最大手の)カンタスが豪州の空を事実上独占することになる」と救済を求めた。
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