勤務医投資家は未経験の暴落で転換、買い下がらず売却
コロナ・ショック スゴ腕投資家はこう動いた(2)

日経マネー特集
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2020/4/23 2:00
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写真はイメージ=PIXTA

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 コロナ・ショックで起きた株式市場の暴落に、スゴ腕の個人投資家たちはどう対峙したのか。そして、コロナ・ショック後の相場をどう戦っていこうとしているのか。3人の実例を紹介する。二人目として登場するのは、医師として多忙な日々を送りながら、株式投資で資産を大きく増やしてきた30代の兼業投資家。今回の未曽有の暴落に直面して、それまでの急落時とは異なる対応に踏み切った。

企業が保有する資産に比べて株価が低い資産バリュー(割安)株と、安定した収入が定期的に入るストック型ビジネスを展開し、営業利益を増やすグロース(成長)株の両方を手掛ける──。

インヴェスドクターさん(ハンドルネーム)は病院の勤務医として多忙の中、一つの投資法にこだわらない柔軟な運用を実行。計1700万円の原資を約11年で5億5000万円まで増やした。

■相場に対する前提を変更

このスゴ腕投資家も、コロナ・ショックによる暴落では大きなダメージを負った。運用資産の減少幅(昨年末比)は、最大で27%に達したという。

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「医者が本業なので、専門家としての知見を基に新型コロナウイルスはSARS(重症急性呼吸器症候群)とMERS(中東呼吸器症候群)ほど深刻ではないと判断し、株式市場の動揺は続かないと読んだ」

最初の相場の見立てをこう説明し、次のように続ける。

「市場の動揺を受けて海外投資家による日本株の売却が増えると想定して、保有する銘柄の業種をソフトウエアなど内需主体で景気動向の影響が少ないサービス系のものに絞ることにした」

ところが、市場の動揺は収まらず価格の急落が続いた。「それまで経験したことのない落下スピードに目を見張った」と話す。

そして、日経平均株価が2万円を割り込んだ3月9日に新たな行動に出た。2万円割れが目前になった時点で、保有株を売却し始めたのである。

「売りたくても、売買高が少なくて買い手の付かない銘柄は売れない。そうした銘柄は我慢して持ち続け、買い手の付く銘柄を"投げ売り"した」と言う。

「新型コロナの感染拡大に対する懸念から生じたパニックがこれほど大きくなるとは思わなかった。株式投資では、自分ではなく他の大勢の人々がどう見ているかを常に考えなければならない。このことを改めて痛感した」

インヴェスドクターさんが痛感したことがもう一つある。「リスクパリティ戦略」と呼ばれる手法を採用しているヘッジファンドなどの売買が株式市場全体に及ぼす影響が大きくなっている点だ。

この手法では、相場の変動率を測るVIX(変動性指数、恐怖指数とも)などの指標の動きに応じて、株などのリスク資産の配分を自動的に変更する。この資産配分の変更による売買が相場の動きを増幅し、過剰に上下に動きやすくなっているとみる。

「従来は日経平均が2万円を割っても、保有株は売却せずに買い下がっていた。ヘッジファンドなどの売買で市場が過剰に動きやすくなっていることを踏まえて、今後は相場の調整で割安感が出てもすぐに買いには動かない。さらに下落することを前提にして、まずは様子を見ることにする」

■割安な株を買い集める

投げ売りの結果、運用資産に占める現金の割合は一時35%まで高まった。そうしてできた資金を使って、ストップ安になった銘柄を少しずつ買い集めている。やはり景気の動向に左右されることが少ない業種で、自己資本比率の高い企業の株が対象だ。一方で、成長株の売買は控えている。

「株式市場の動揺が収まって落ち着くのはまだ先だろう。少なくとも、3月期決算を採用している企業の通期決算が4月下旬から5月中旬にかけて発表されるまでは待つ。そこで株式市場の反応も見てから対応を決めたい」

(中野目純一)

[日経マネー2020年6月号の記事を再構成]

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