「経済物理学」で米国株の暴落回避 チャートで見抜く
コロナ・ショック スゴ腕投資家はこう動いた(3)

日経マネー特集
日経マネー
2020/4/24 2:00
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写真はイメージ=PIXTA

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 コロナ・ショックで起きた株式市場の暴落に、スゴ腕の個人投資家たちはどう対峙したのか。そして、コロナ・ショック後の相場をどう戦っていこうとしているのか。3人の実例を紹介する。ラストバッターは、成長株投資で運用資産を大きく増やし、上場企業を退職して早期リタイアを実現した40代の投資家。それまでの教訓を生かし、今回の暴落では鮮やかな対応で難を逃れた。

「2004年に株式投資を始めて、08年のリーマン・ショックをはじめとして、複数の暴落や大きな調整を経験してきた。そのたびに大きな含み損を抱えてきた」

こう打ち明けるのは、専業投資家のすぽさん(ハンドルネーム)だ。読者を巻き込んで個別銘柄を分析するブログ「すぽさん投資ぶろぐ」を運営し、個人投資家の間で人気を博している。11年にPER(株価収益率)が10倍前後の銘柄を買う割安株投資から、年率20%以上で業績を拡大する高成長銘柄の売買に転換。それが奏功して、運用資産を5年余りで10倍に増やした。

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■急落を察知する方法を探す

このスゴ腕投資家の脳裏に深く刻まれているのが、18年10~12月の相場だ。この3カ月の間に日本のみならず世界的に全体相場の急落が断続的に発生。同年の日経平均株価の年間騰落率は、12年12月にアベノミクス相場が始まってから初めてのマイナスになった。

「あの3カ月の急落は、何の前触れもなく突然始まった。しかも成長株の下げがきつく、大きなダメージを負った。その後、突発する相場急落でもその兆しを捉えて直撃を回避する方法をずっと探し求めてきた」と話す。

そのすぽさんの目に留まったのが、「経済物理学」の学説を紹介した本だった。経済物理学は、その名が示す通り経済現象を物理学の分析手法で解明しようとする学問だ。そのアプローチに興味を引かれて、すぽさんは経済物理学の書籍を読みあさった。

その中で出合ったのが、スイス連邦工科大学のディディエ・ソネット教授の著書『入門経済物理学』(PHP研究所)。ソネット教授はこの著書の中で、全体相場や個別株にバブルが生じてはじける時のチャートには特有の形状が現れると指摘。それを捉えれば、バブルの崩壊による急落を事前に察知できると主張していた。

上の図は特有の形状を図解したものだ。通常は価格を上に引っ張る力と下に引っ張る力がせめぎ合い、どちらに振れるかは予測できない。しかし、バブルが発生すると、上に引っ張る力がどんどん強くなって、上昇の角度が急になっていく。さらに、価格の振れ幅が小さくなっていく。そして臨界点に達するとバブルがはじける。

すぽさんはこの学説を応用して割高感の漂っていた米国株の指数の動きをチェックした。1月27日に米ダウ工業株30種平均などの指数が突然急落したのを見て、「バブル崩壊が始まった」と判断。成長株を中心に保有株を売却した。

その結果、運用資産に占める現金の割合は7割まで高まった。この状態をキープしたまま様子を見続け、バブル崩壊の余震が収まるのを待つ構えだ。

(中野目純一)

[日経マネー2020年6月号の記事を再構成]

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