補正予算案を再決定、歳出25兆円超に 27日国会提出

政府は20日の臨時閣議で、1人あたり一律10万円の給付を盛り込んで組み替えた2020年度補正予算案を決定した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策の事業規模は約117兆1千億円に上る。19年度補正予算の未執行分を含めた財政支出は48.4兆円と過去最高になる。
一般会計の歳出は7日の当初決定時より約8兆8800億円増額し、25兆6900億円に膨らんだ。いったん閣議決定した予算案を組み替えて再び決めるのは異例で、補正では初めて。
閣議後に記者会見した麻生太郎財務相は「すべての国民が極めて厳しい状況に置かれており、長期戦が予想される」と述べた。給付金をなるべく早く支払うため、補正予算の早期成立を目指す考えを示した。
政府は当初の予定よりも1週間遅れて27日に国会に提出し、5月の大型連休前に成立させる構えだ。
編成をやり直したのは一律10万円を配る資金を追加するためだ。所得制限は設けず、一律で配る。郵送やオンラインで申請を受け付け、マイナンバーカードも活用する。麻生財務相は5月中の支給開始をめざす考えを示している。

受給要件がわかりにくいとの批判があった減収世帯への30万円給付は撤回する。対象の想定は約1300万世帯で必要額は約4兆円だった。一律10万円の給付には12兆8800億円が必要で、歳出は8兆8800億円増額する。全額を赤字国債の増発で賄い、補正予算案での発行は計23兆3600億円となる。
現金給付は売り上げが半減した事業者にも個人とは別に実施する。中小企業に200万円、フリーランスを含む個人事業主に100万円が上限で、総額は2兆3100億円だ。個人と事業者を合わせた現金給付は15兆2000億円程度になる。
これまで最大の経済対策はリーマン・ショック後の2009年4月に決定した「経済危機対策」だった。事業規模56.8兆円、財政支出15.4兆円と公表していた。このときの09年度第1次補正予算は減額分を除く歳出増が約14兆円だった。

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