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「練習の鬼」ベン・ホーガンが贈る珠玉の金言集(中)

2020/4/30 3:00
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フェアウエーを見つめる鋭い眼光から「ホーク(タカ)」、ラウンド中に一言も発しない冷徹なプレーぶりから「アイスマン(氷の男)」と呼ばれたベン・ホーガン(米国)。プロになってから長い間、活躍できずにいたが、猛練習によって実力を上げ、米PGAツアー屈指のプレーヤーとなる。飛ばし屋のドローヒッターで賞金王に5回も輝くが、メジャータイトルが取れず、フェードに変えた30代後半からメジャーを次々に制し、グランドスラマーに。そんなホーガンがのこした練習における名言を贈る。(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ 2020特別編集号」から)
ホーガンの教え・その3「ゴルフの練習はピアノのレッスンのよう。連続素振りでスムーズなスイングを体得せよ」

ホーガンはゴルフの練習をピアノのレッスンに例えている。

その真意は、ピアノのレッスンは頭で曲を弾くのではなく、指が自然に動いて曲が弾けるようにするわけで、ゴルフの練習もそれと同じで、理屈で考えてスイングをするのではなく、自然に体が動いてクラブを振れるようにならなければならない。

「スイングを頭で考えているうちはうまく打てるようにはならない。何も考えずに自然にうまく振れるようになるまで練習すること。それがゴルフの練習というものなのです」

ホーガンのその言葉は、ゴルフをやったことのある人なら誰でも痛感するものだろう。考えなくとも考えたことができるまで、振り続けること。スイングを積み重ねることなのだ。

逆に言えば、頭で考えることをストップして、動物的な本能に任せてクラブを振るようにしなければならないという教えでもある。

そのためにホーガンが自ら行っていたのが、連続素振りである。

「毎朝、起きるとすぐにベッド脇でクラブを振ります。両肘を体に密着させ、最初はパターを振るくらいの小さな振り幅で、徐々に大きくしていきます。最後はフルスイングになるまで連続で振り続けます。こうすることで自然に良いリズムで、しかも正しい軌道でスイングできるようになります」

また、ホーガンが連続素振りで勧めていたのが、3段階連続素振りである。

「最初はクラブヘッドが腰から腰までのハーフスイング、次に肩から肩までのスリークオータースイング、最後がフルスイング」

この3段階連続素振りを、ショットを打つ前に行うのだ。そうすれば、スイングのことを考えずにボールを打つことができる。

これを練習のときから行って習慣づけ、コースでボールを打つときにも実践すれば、何も考えずにうまく打てるようになる。松山英樹もやっている本番前の素振りである。

そう、指が自然に覚えてピアノを弾けるように、体が自然に動いてボールを打つことができるようになるのだ。

ホーガンの教え・その4「人間のスイングは不純物に汚されている。ハーフウェイダウンの繰り返しで浄化させる」

初恋は純粋である。恋を重ねていくうちに嫉妬や裏切りなどを経験し、純真さが薄れていく。それと同じようにゴルフスイングも経験を重ねていくうちに純粋さが薄れて汚れてしまう。

ホーガンは「人間のスイングは不純物に汚されている」と語ったが、ジャンボ尾崎は「長い間やるうちに垢(あか)がたまってくる」と言った。これまでに起きた失敗がトラウマとなり、純粋にクラブが振れなくなってしまうことを例えている。

アマチュアはボールに当たらないから、どうしても手で当てにいってしまう。クラブを振り抜くことを忘れ、ひどいスイングになってしまう。まさに「不純物にまみれたスイング」である。

では、どうすれば、それを矯正することができるのか。ホーガンが自ら行っていた練習法が「ハーフウェイダウン素振り」である。

ホーガンはこう説明している。

「バックスイングの途中からコックを始めて、しっかりとコックしたトップを作る。ここからダウンスイングに移行するわけだが、そのときにトップで作ったコックはそのままにして解かず、腰を回して左足に体重移動する。こうすると、手や腕は何もしてないのに、肩が自然に回ってハーフウェイダウン、つまり手が腰の位置まで下がる。腰まで下がったら、もう一度、腰と肩を回し上げてトップを作る。トップができたら、再びハーフウェイダウンし、またトップまで引き戻す。こうして2回ハーフウエーダウンを繰り返したら、3度目のダウンスイングで初めてフィニッシュまで振り抜くわけです」

つまり、1回、2回とコックをためたままハーフウェイダウンし、3回目に最後まで振り抜くわけで、何度か素振りをしたら、ボールを打ってみる。

「こうすると、トップからいきなり手を下ろすという悪癖を矯正することができます。ヘッドをためたレイトヒッティングにも自然となるため、クラブヘッドが走ります。ボールをしっかりとつかまえることができ、飛距離の出るドローボールとなります」

ホーガンのような、手が体に近いコンパクトなダウンスイングになるのだ。

ホーガンの教え・その5「アイアンをしっかりヒットダウンせよ。フェースの下から3本目の溝で打つ」

ホーガンはアイアンショットが素晴らしかった。腕の立つ侍が一刀両断にするようなキレのあるショットだった。

「スコアを良くしたいのなら、アイアンを上達することだ」

そうホーガンが言うように、いくらドライバーがうまくてもアイアンが下手ではグリーンをとらえられず、四苦八苦のラウンドになる。このことを痛感していたホーガンは、ことのほかアイアンを重点的に練習していた。

「アイアンはヒットダウンすること。ヘッドのリーディングエッジでボールをとらえて押し込み、ボールの先の芝を削り取る。スイングの最下点はボールの先にあるのです」

つまり、ダウンブローに打てということなのだが、わかっていてもできないのが我々アマチュアだ。

「トップからいち早く左足に体重移動する。腰を回すタイミングを早くし、しかも速く回す。決して右足体重で打ってはならない」

しかも、左手の使い方が重要になる。

「インパクトで左手は真っすぐ平らでなければならない。左手首は手のひら側に曲がっているくらいでもよい。決して甲側に折れ曲がってはいけない。手首を伸ばしたまま、フォロースルーも行う。こうすれば、ハンドファーストでボールをとらえた後、ヘッドは低く出てボールを押し込み、ダウンブローに打つことができるのです」

このことをホーガンはスーピネーションと呼んだ。インパクトからフォローにかけて、左手甲がひねられて下を向く、左手が外旋する動きである。この左手の動きは素手でゆっくりと行い、その後、クラブを持って体に覚えさせなければ到底できるものではない。

ボールを押し潰すように打てるため、スピンがしっかりかかる。

「そうなれば、硬いグリーンでもボールを止められるし、ピンをデッドに狙っていけるのです」

パーオン率を高め、バーディーチャンスを増やすことになる。

「私は猛練習の結果、フェースの溝の下から3番目でいつも打つことができるようになった。正確にヒットダウンできていた証拠です」

(次回は5月4日に掲載予定。文:本條強、イラスト:サイトウトモミ)

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