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コロナで延期 開催へ模索続くカンヌ国際映画祭

フランス南部のカンヌで毎年開かれ、世界三大映画祭の中で最も影響力のあるカンヌ国際映画祭が開催に向けて模索を続けている。

当初は5月12~23日を予定していたが、3月、新型コロナウイルスの感染拡大により延期を発表。新たな日程として6月末から7月初めを有力案としていた。ところが、4月13日にフランス政府が外出制限の延長を決定。マクロン大統領は「大規模フェスティバルは7月半ばまで開催を認めない」と述べた。再び日程の見直しを迫られた映画祭事務局は「従来の形式で開催するのは困難。国内外の専門家と話し合い、何らかの方法で映画祭の作品に光を当てられるよう、あらゆる可能性を探る」との声明を出した。

一方で、例年は映画祭に併設して同時期に開催する見本市「マルシェ・ドゥ・フィルム」を、6月22~26日にオンラインで実施する。世界各地から製作者とバイヤーが集まり、映画を売買する世界最大のマーケットだ。また、カンヌ国際映画祭と主催者は異なるが、毎年並行開催してきた映画イベント「監督週間」「批評家週間」「ACID」は中止を決めた。

さらなる日程変更はハードルが高い。例年通りなら秋以降にベネチア(イタリア)、サンセバスチャン(スペイン)、トロント(カナダ)など有力映画祭が続き、変更の余地が少ないからだ。世界の映画祭の中にはオンラインでの開催を試みるところもあるが、簡単ではない。

フランスには劇場の売り上げの一部を映画祭などの資金に充当する制度があり、カンヌ映画祭はインターネットでの動画配信事業者の出品を規制している。映画祭「東京フィルメックス」のディレクターを務める市山尚三氏は「カンヌは『最高の環境でお披露目したい』という映画作家のわがままにもきちんと対応してくれる映画祭。オンライン開催となると出品をやめるケースも出てくるのではないか」とみる。

市山氏は「ベネチア国際映画祭開催前の8月に再延期するか、中止かの選択になるのではないか」と予想する。仮に中止しても「ベネチアなど他の映画祭と協力しながら、カンヌ選出映画の上映機会を設けるなどの可能性がある」という。「カンヌは最高峰の映画祭。アート系映画など、映画祭開催をあてにしている監督やプロデューサーは多い。その期待に応え、映画をお蔵入りさせないために(劇場で上映する)出口を懸命に考えているのではないか」と市山氏は指摘する。

カンヌ国際映画祭は世界の名だたる監督たちが新作をお披露目し、コンペティション部門の最高賞パルムドールを競う。一方で才能ある新鋭を発掘し、ここから世界に羽ばたく監督も多い。

日本の河瀬直美監督もその一人だ。受賞動向は興行にも大きな影響を及ぼす。2019年のパルムドールはポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」で、その後、米アカデミー賞作品賞も受賞し世界的にヒットした。映画祭は今年で73回目。予算の問題で初期に中止した年はあるが、それ以外は毎年開かれてきた。

(関原のり子)

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