浙江省、上海―寧波にリニア新設 景気下支えに財政出動
交通分野に56兆円
【北京=多部田俊輔】中国の浙江省政府は17日、上海市から浙江省省都の杭州市を経由して寧波と結ぶリニア鉄道の建設計画を発表した。路線距離は400キロメートル程度で、総投資額は数千億元規模とみられる。同省はリニア鉄道を柱に交通分野だけで総額約3兆6千億元(約56兆円)を投じる。上海―杭州―寧波間はすでに高速鉄道が整備されているが、新型コロナウイルスの影響で経済が大きく落ち込んでおり、巨額の経済対策でてこ入れを目指す。

浙江省の共産党や政府が開いた交通に関する会議で、長期計画にリニア建設を盛り込んだ。開通時期は明らかにしていないが、2035年がめどとなる見通し。中国国有鉄道車両大手の中国中車が時速600キロのリニア車両を開発しており、同社の技術が採用されそうだ。
新型コロナで落ち込んだ経済を立て直すため、中国政府は次世代通信規格「5G」などの新しいインフラの整備を進める方針を打ち出している。高速のリニア鉄道も新分野に含まれており、雲南省でも路線距離が430キロのリニア鉄道の建設計画が浮上している。
中国では上海市街地と空港を結ぶ約30キロのリニアモーターカーの路線が開通している。

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