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米保守派、トランプ氏に圧力 経済活動の再開促す

(更新)
ペンス米副大統領(右)は保守派団体首脳と定期的に電話会議を開き、新型コロナ対策で意見を交わしてきた=ロイター

【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領が16日、新型コロナウイルス対策で取り入れてきた外出制限を緩め、経済活動の再開に向けた指針を公表した。支持基盤である保守派から就労や外出を一律に制限する政権の方針に不満が相次ぎ、早期の再開の動きを後押しした格好だ。大企業の救済などを盛り込んだ大型経済対策にも批判が目立ち、トランプ氏は11月の大統領選に向けて保守派への配慮を迫られた。

トランプ氏は16日の記者会見で、モンタナ、ユタの両州について「これらの州は明日から経済を再開できる」と力を込めた。「我々は経済をかつてないほど大きくて強いものに再生する」と指摘。「スポーツイベントも最終的に満席で観戦できる」と訴え、経済の正常化を迅速に進める考えを強調した。

早期の再開を促したのは、大統領再選のカギを握る保守派だった。

「数カ月間の経済閉鎖で中小企業の半分が倒産する」「1929年の大恐慌よりも経済が悪くなる」。3月24日、ペンス副大統領が開いた20人以上の保守派団体首脳が参加する定例の電話会議では厳しい意見が相次いだ。焦ったトランプ氏はこの会議のわずか2時間後、保守系メディアのインタビューで4月12日の復活祭までに経済活動の再開を目指すと唐突に表明したものの、3月29日には計画の撤回に追い込まれていた。

ペンス氏は4月上旬の同じ会議では「雇用悪化にも当然目配りする」と重ねて強調、再開の遅れへの批判をかわそうとした。経済の正常化を急ぐため、1日当たりの新型コロナの検査を約4倍の最大50万件に拡大。安心して経済活動を再開する「唯一の手段」は抗体検査の充実とし、体制整備を急ぐ方針を示した。

会議に参加する保守派団体首脳は「働かないことや政府頼みの生活を是とする考えに抵抗感がある」と語る。保守派は自己責任や自助努力を重んじ「小さな政府」を志向する。失業者が増え、政府支援を拡大することは保守派の信条に反する。

就労自粛の社会的弊害も指摘する。米メディアによると保守派団体「ティー・パーティー・パトリオット」の共同創設者ジェニー・マーティン氏は「経済的苦痛を受けると自殺や薬物乱用に走りやすくなる」と訴える。「事態を悪化させる解決策ではいけない」。トランプ氏のこの主張は保守派を意識したものだ。

保守派はオバマ政権時代に「大きな政府」に反対する草の根運動「茶会党」を組織。上下両院で草の根運動を支持する共和党議員を当選させ、政治的影響力を強めた。財政出動に前向きなトランプ政権下では「茶会党は死んだ」(共和党のランド・ポール上院議員)との見方が強まったが、新型コロナを受けた異例の政府介入を踏まえ、オバマ政権時代の主張を再び強めているようだ。

トランプ政権の大型経済対策についても「大きな政府」につながると保守派から不満が出ていた。保守派の代表格、大富豪のコーク兄弟が支援してきた政治団体は対策に盛り込まれた現金給付などに懸念を表明した。将来の大統領候補ともいわれるニッキー・ヘイリー前米国連大使は航空会社を救済対象とする政府の方針などを批判したうえで、ボーイング取締役を辞任した。

保守派の経済評論家で、米連邦準備理事会(FRB)理事候補に名前があがったスティーブン・ムーア氏は「5月に経済活動の再開にカジを切らなければ、大統領選までに米経済は回復しないだろう」とホワイトハウスに助言してきた。良好な経済を看板に大統領再選を目指してきたトランプ氏にとって、経済の立て直しは喫緊の課題だ。

だが、経済活動の再開は新型コロナの感染拡大リスクと隣り合わせでもある。民主党選出の州知事を中心に早期の経済活動の再開には慎重な声が目立ち、保守派内にも「経済閉鎖に再び追い込まれるのが最悪のシナリオだ」との指摘がある。

全米で感染者数が多い州には11月の大統領選の激戦州であるミシガンやペンシルベニア、フロリダ各州などが入る。新型コロナ対策を誤れば、民主党候補のバイデン前副大統領らに批判の材料を与え、政権運営にも打撃になるリスクがある。

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