中東経済に二重の逆風 回復に遅れも

2020/4/16 20:00
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中東・北アフリカの地域経済が原油安と新型コロナウイルスの感染拡大による人の往来の途絶という二重の逆風にさらされている。国際通貨基金(IMF)は15日、同地域の2020年の実質成長率見通しをマイナス3.1%と、19年10月時点から5.8ポイントも下方修正した。各国は産油収入や観光といった特定の産業への依存度が高いだけに、21年以降の回復が遅れる懸念もある。

新型コロナ対策の外出制限で閑散とするサウジの首都リヤド=ロイター

湾岸地域の経済拠点、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでは4月に入り、外出禁止が24時間に延長された。10月に開幕予定だったドバイ国際博覧会(万博)は1年程度延期の検討に入った。

国際線の旅客数が世界一のドバイ国際空港もほぼ停止した。ドバイのエミレーツ航空、UAE・アブダビのエティハド航空、隣国のカタール航空の湾岸3社は手厚い政府支援を武器に、大陸間の乗り継ぎ需要を取り込んできたが、世界規模の入国制限で、このハブ戦略は頓挫した。ドバイ政府はエミレーツへの資本注入に踏み切った。

「客足が完全に止まった。商売あがったりだ」。エジプトの首都カイロ近郊のギザの3大ピラミッド近くの土産物店主は嘆く。エジプトは3月中旬に国際旅客便の発着を停止し、下旬からはピラミッドなど全土の観光施設を閉鎖した。

11年に民主化運動「アラブの春」、15年に過激派組織「イスラム国」(IS)の仕業とされる旅客機撃墜事件が起きたエジプトでは海外からの旅行者数が大幅に落ち込んだ。その後の政情安定で地元メディアによると、19年には16年比3倍弱の1300万人まで急回復していた。

原油価格の低迷も強い逆風だ。サウジアラビアは輸出の約8割を石油が占める。3月、ジャドアーン財務相は20年予算の約5%を削る方針を示した。アルジェリアは公共支出の3割削減を打ち出し、イラクは国際石油企業に支払いの猶予を求めたと伝えられた。

石油輸出国機構(OPEC)と非加盟のロシアなどでつくる「OPECプラス」は12日に協調減産で最終合意したが、需要の消失に追い付かない。IMFは1バレル20ドル台の低迷が続けば、中東の石油輸出国の減収は2300億ドル(約25兆円)を上回ると予測する。

21年の世界経済の成長率は5.8%に回復するとみるが、中東・北アフリカは3.9%。回復の遅れを巡り、IMFの地域担当、ジハド・アズール氏は「財政の安定が重要になり、経済を多角化する目標は正しいが調整が必要になる」とみる。

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