国民一律10万円給付へ 政府・与党「30万円」は撤回

政府・与党は16日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国民1人あたり10万円を給付することを決めた。所得制限は設けない。緊急経済対策を含む2020年度補正予算案を組み替え、減収世帯に30万円を支給する措置は撤回する。一律10万円給付は12兆円超の財源が必要になる見通しだ。
安倍晋三首相は16日夜、新型コロナの政府対策本部で、1世帯当たり30万円の支給策に関し「これに代わり給付対象を拡大した措置を講ずべきだ」と指摘した。そのうえで「すべての国民を対象に一律10万円の給付を行う方向で与党に再度検討してもらう」と述べた。
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一律10万円の給付案は公明党が主張していた。首相は16日、電話で同党の山口那津男代表に受け入れる考えを伝えた。
政府は7日に補正予算案を閣議決定し20日にも国会に出す予定だった。予算案を提出前に大幅に組み替える異例の対応となる。27日にも提出して早期成立をめざす。
減収世帯に30万円を給付する案について、与党内で制度の複雑さなどに批判が出ていた。
政府・自民党で30万円給付策を含む補正予算案の成立後、10万円の給付を盛った第2次補正予算を編成する案が浮上した。公明党は一律10万円の措置に集約して財源を回すよう主張した。
所得制限を設けずに国民全員に一律10万円を支給する場合、単純計算で12兆円超の財源が必要になる。30万円の給付策は約1300万世帯を対象に約4兆円を想定していた。補正予算案で16.8兆円と見込む歳出総額が膨らむ見通しだ。赤字国債の発行増額で賄う。

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