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新型コロナ治療薬、塩野義製薬が「ヒット化合物」同定

日経バイオテク

塩野義製薬は北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターとの共同研究で、新型コロナウイルス株を用いて有効な化合物を見つけるスクリーングを実施し、ウイルス活性を抑える複数の「ヒット化合物」を同定したことを14日明らかにした。新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として実用化することを目指し開発を進める。

同社は、感染症を重点領域の1つに位置付けており、これまでも季節性のコロナウイルスに対する創薬研究などを実施してきた。今回の新型コロナウイルスに対しては、治療薬の開発を目指し、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターと共同研究を進めている。

共同研究では、2019年12月ごろから、新型コロナウイルスと同じ、β属のコロナウイルスの既存株(OC43株)に、同社の化合物ライブラリーに保存されている低分子化合物を添加して、ウイルスの活性を抑えるかどうかを調べる化合物のスクリーニングをスタートさせ、いくつかの化合物を同定した。20年3月以降は、新型コロナウイルス株を用いた低分子化合物のスクリーニングを実施し、ウイルス活性を抑える複数のヒット化合物を見いだしたという。

塩野義製薬は今後、同定された複数のヒット化合物について構造活性相関の解析や標的分子の同定などを行い、並行して原薬の製造などの検討も行う。

今年度内の臨床試験開始目指す

同社は、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬の研究開発を最優先プロジェクトの1つとして位置付けており、「最短で20年度内の臨床試験の開始を目指す方針だ」(広報担当者)。ただ、「(大量生産ができる)低分子化合物の開発は、非臨床での毒性の評価などにそれなりの期間を要するため、まだ先はかなり長いと考えておいた方がよいだろう」と業界関係者は話している。

なお、新型コロナウイルスに対しては、日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて、国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センターの長谷川秀樹センター長が進めている予防用ワクチン開発に20年3月から、塩野義製薬のグループ会社であるUMNファーマが参画。研究開発の詳細や開発段階は明らかではないが、感染の足掛かりとなるスパイク(S)タンパク質を抗原とした組み換えワクチンを開発しているのではないかと推測されている。

(日経バイオテク 久保田文)

[日経バイオテクオンライン 2020年4月15日掲載]

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