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「iPhone SE」399ドルから Apple発表

買い替え需要を刺激

(更新)
アップルが発表した399ドルからの「iPhone SE」

【シリコンバレー=白石武志】米アップルは15日、399ドルからのスマートフォン「iPhone SE」を17日から予約開始すると発表した。発売時の価格としては歴代iPhoneで最も安い水準となる。高価格帯に偏った品ぞろえを広げて旧機種のユーザーに買い替えを促すとともに、新興国市場を開拓する。ただ、新型コロナウイルスの影響でスマホ需要は落ち込んでおり、当面は販売苦戦を強いられそうだ。

SEは2016年に同じ399ドルからで発売した初代「SE」の後継機種という位置づけだ。画面サイズは4.7インチで、本体前面には旧機種で採用していた指紋認証機能付きのホームボタンを残した。最新の「iPhone 11」シリーズの上位機種では3台ある背面カメラを1台にするなどして部品コストを抑えたもようだ。

一方で頭脳となる半導体には最新機種と同じものを採用し、高い処理性能が求められるゲームアプリなどを楽しめるようにした。本体色は白と黒、赤の3色を用意する。米国や日本などでサービスが始まった高速通信規格「5G」には対応しない。日本での価格は4万4800円(税別)からとなる。

iPhoneの年間販売台数は15年9月期の約2億3000万台をピークに頭打ちとなっており、アップルは近年は1台当たりの単価を高めることで売上高を伸ばす戦略を進めてきた。現行の上位機種の価格は米国で1000ドル(約11万円)を超える。ただ、高価格帯の品ぞろえが中心となったことで消費者の買い控えも招くようになり、平均買い替えサイクルは米国では4年前後に達している。

アイルランドのデータ分析会社デバイスアトラスが19年にまとめた調査によると、発売後3年以上が経過した機種を使い続けている割合は世界のiPhoneユーザー全体の約40%に上った。アップルは約4年ぶりに廉価版を投入することで、こうした旧機種の利用者らの買い替え意欲を刺激する狙いだ。

SEはアップルが進めるインド市場開拓でも戦略上の重要な機種となりそうだ。小売業に対する外資規制が段階的に緩和されていることを受け、同社は20年中にインドで自前のオンライン店舗の営業を始め、21年には同国初の実店舗をオープンさせる計画を表明しており、同国で人気が高い普及価格帯の品ぞろえが課題になっている。

19年のインドのスマホ出荷台数は前年比7%増の約1億5800万台となり、米国を抜いて中国に次ぐ世界で2番目に大きい市場になった。流通経路がネット通販などに限られるiPhoneのシェアは1%前後とみられ、アップルはSEの投入によって中国・小米(シャオミ)など中低価格帯の機種に強みを持つライバルに対抗する考えとみられる。

アップルは40を超える国と地域でSEを販売する計画で、米国では17日から自社のウェブサイトなどを通じて予約を受け付け、24日から順次出荷を始める。ただ、新型コロナの感染拡大を受けてアップルは香港と台湾を含む中華圏を除く全ての地域で直営店を一時閉鎖しており、滑り出しは低調とならざるを得ない見通しだ。

アップルは製造拠点である中国からのiPhone供給が一時的に制限されることなどを理由に、2月中旬に20年1~3月期の売上高予想が未達になると発表している。その後、中国の主要な生産委託先の稼働は例年並みに戻りつつあるものの、現在は米国や欧州などに広がった外出制限がスマホの需要そのものを冷え込ませるようになっている。

米調査会社のストラテジー・アナリティクスによると20年2月の世界のスマホ出荷台数は前年同月比38%減と過去最大の落ち込み幅となった。シニアアナリストのイーウェン・ウー氏は「数億人もの消費者がロックダウン状態にあり、新しいデバイスを購入することができないか、購入に消極的だ」と指摘する。

悪化する市場環境を踏まえ、アップルは20年秋の発売が予想されていた初の5G対応iPhoneについて、発売時期を数カ月延期する検討を始めたことがサプライヤー関係者の話で分かっている。5Gの普及のけん引役になると期待されていた新型iPhoneの発売が遅れれば、世界のスマホ市場が一段と縮小する循環に陥るおそれもある。

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