大林組、戸田建設も工事中断 新型コロナ感染防止へ

建設最大手の大林組は15日、国の緊急事態宣言下にある7都府県の建設工事を原則的に中断すると発表した。今後発注者と協議し、工事を順次止める。対象となる現場は約350件で、期間は5月6日まで。準大手の戸田建設も同日、工事中断の方針を発表した。既に清水建設などが中断の方針を発表しており、新型コロナウイルスの感染防止のため工事を止める動きが広がってきた。
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大林組は緊急事態宣言が出された当初、工事は継続するとしていた。15日までに建設現場などで社員2人の感染者が出たことを受け、方針を転換した。「社員や下請け会社などの身体、生命の安全を守ることを最優先した」(同社)という。
今後、工期などの影響を精査した上で、20日から発注者と中断に向けた協議を始める。発注者と合意でき次第、工事を中断する。発注者とは追加費用の負担などについて協議するとみられる。
下請け会社への工事中断に伴う補償については「事前に協議し、適切に対応する」とするにとどめた。7都府県以外の工事についても、新型コロナ感染者の推移などによっては工事中断を検討するという。
大林組は新型コロナ感染拡大防止のため25日から5月10日まで全社で一斉休業することも発表した。全国14の本社、支店や技術研究所などを休業する。全国の工事現場も休業の対象になる。
戸田建設も15日、7都府県の工事現場、約140件について原則中断する方針を示した。今後、発注者と協議する。同社も下請け会社への補償については「個別に対応していく」とするにとどめた。
建設業界では工事を中断する動きが広がっている。清水建設や西松建設、東急建設が7都府県の工事中断の方針を示している。業界最大手の大林組が中断を決めたことで、同様の動きはさらに広がりそうだ。