豪雨被害、6億円賠償請求 岡山・真備の住民ら提訴
国などの河川管理は不十分
2018年7月の西日本豪雨で河川が氾濫し甚大な被害を受けたのは、河川やダムの管理が不十分だったからだとして、岡山県倉敷市真備町地区の住民ら32人が15日、国と岡山県、倉敷市、中国電力に計約6億4千万円の損害賠償を求めて岡山地裁に提訴した。
訴状によると、国や県は真備町地区を流れる小田川と高梁川の合流地点を下流にする工事を先送りし、堤防を低いまま放置するなどしたため、安全性を欠いていたと主張。また県や市は、堤防の切れ目にあり、増水時に閉める必要がある「陸閘(りっこう)」と呼ばれるゲートを閉鎖せず、管理が不十分だったとしている。
さらに記録的な豪雨が予想され、国や中国電は上流の新成羽川ダム(同県高梁市)の事前放流などで放流量の調整をすべきだったのに怠り、洪水の危険を招いた過失があると主張。倉敷市には避難指示の遅れや、要避難支援者への避難誘導に不備があったとしている。
原告側は「住宅や家財などの財産のみならずコミュニティーなどの生活基盤を侵襲され、苦渋の避難生活を余儀なくされるなどし、甚大な被害を受けた」と訴えている。
弁護団は今後も原告を募り、豪雨発生から2年となる今年7月に第2次提訴を予定している。
岡山県の担当者は「訴状が届いておらず、コメントは差し控えたい」と話した。
西日本豪雨の被害を巡っては、愛媛県の肱川上流にあるダムの緊急放流で下流域に甚大な浸水被害が出たとして、被災者ら8人が国などに計8650万円の損害賠償を求める訴訟を松山地裁に起こしている。
〔共同〕