コロナと企業統治 JDIに立ちはだかる2つの壁

2020/4/15 15:44
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経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)に2つの壁が立ちはだかっている。新型コロナウイルスの感染拡大で事業環境が悪化していることに加え、13日には不正会計に関する第三者委員会の調査報告書を公表し、ガバナンス(企業統治)の改善も新たな課題として浮上した。

外部の人材も交えてガバナンスの体制強化を進める

独立系投資顧問会社いちごアセットマネジメントなどの金融支援で当面の資金繰りは確保したが、事業再生に向けて難しい局面が続く。

「1~3月期の営業損益の黒字化はかなり難しくなっている」。JDIの菊岡稔社長は新型コロナの感染拡大が業績に与える影響について、こう説明した。

サプライチェーン(供給網)の混乱に加え、車載向けを中心に需要が減少している。1~3月期の売上高は2019年10~12月期と比べて25%減るという。事業環境の悪化に備え、3月にはいちごアセットによる支援の規模を最大1108億円と、100億円積み増す契約を結んだ。

コロナの影響の長期化はJDIの再建シナリオの重荷となりそうだ。赤字体質の改善に向け、経営危機下に不利な条件で結んだサプライヤーなどとの取引条件を9月までに正常化する方針を掲げているが、コロナの影響で取引先も経営環境は悪化している。

そのうえ緊急事態宣言を受けて各社は在宅勤務を拡大しており、対面での交渉も難しい。粘り強い交渉が必要となっている状況だ。

新型コロナは過剰設備の削減に向けた主力の白山工場(石川県白山市)のスケジュールにも影響を与えている。同工場は米アップルとシャープに売却する方向で交渉を進めているが、コロナの影響でシャープとの交渉が遅れており、アップルへの設備売却を先行させることになった。

こうしたコロナへの対応に、ガバナンス(企業統治)見直しなどの課題も加わる。

「A氏が在任中に通常の会計と異なるルールで処理をおこなっていたが、経理部内ではA氏の説明が正しいとの認識だった。A氏が現場を離れた後も、同様の処理が続いていた」

JDIが13日に開いた会見では、不正会計が長期にわたった様子がこんなふうに説明された。報告書によると、不正会計は東証1部に上場した直後の14年3月期から19年4~9月期まで続いていた。

A氏とは19年11月に懲戒解雇した経理担当の元幹部を指す。今回の不正会計は、同氏が「経営陣の指示で過去に不適切な会計処理を行っていた」と通知したことを契機に発覚した。

同社の執行役員を含む特別調査委員会が調べたところ、累計で約100億円の在庫を過大に計上していた疑いが判明する。これを受けて12月に社外の弁護士などで構成する第三者委員会を設置する事態となった。

JDIは今後、再発防止やガバナンス体制の強化に向けて、外部の人材も加わる「ガバナンス向上委員会(仮称)」を設立する。菊岡稔社長は「長年の業績不振や、営業利益を最重視する社風が不正会計の背景にあった。新体制で過去と決別し、皆様が納得できる会社に生まれ変わりたい」と述べた。

3月にJDI会長に就任した、いちごアセットのスコット・キャロン氏は「社員が正しいことをできるよう、気持ちだけでなく、現経営陣と力を合わせて全社員が一同となって(経営再建を)やっていきたい」と話す。コロナとガバナンス改革という2つの大きな課題を乗り越えられるか。この成否がJDIの再建の行方を左右する。

(広井洋一郎)

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