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新型コロナ治療にレムデシビル、重症患者投与の詳細

日経バイオテク

米シーダーズ・サイナイ病院や国立国際医療研究センターなどの国際共同研究チームは10日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者53人に対し、人道的使用(コンパッショネットユース)の枠組みでレムデシビルを投与した結果を著名な医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」のオンライン版に発表した。

レムデシビルは、米ギリアド・サイエンシズがエボラ出血熱を対象に開発を進めていた低分子化合物で、ウイルスの複製に関与するRNAポリメラーゼを阻害する作用がある。これまでに承認された国・地域はない。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対しては、試験管内の実験で、ウイルスの活性を抑えることが明らかになっており、世界中で複数の臨床試験が実施されている。

今回、人道的使用の対象となったのは、新型コロナウイルス陽性が確認され、COIVID-19で入院し、酸素吸入や人工呼吸など呼吸のサポートを受けていても酸素飽和度が94%以下だった重症の患者。レムデシビルは、1日目は200ミリグラム、2日目以降は100ミリグラム、計10日間静脈注射された。医師の裁量により、対症療法も実施された。今回の論文では、2020年1月25日から3月7日の期間中にレムデシビルの投与を受け、かつ、臨床データが収集できた患者の予後などを解析した。

この期間中に、人道的使用の枠組みでレムデシビルの投与を受けた患者は、合計61人に上った。ただし、そのうち7人は治療後の臨床データが無く、1人は用法・用量に誤りがあったため、研究チームは53人の臨床データを解析した。内訳は、米国の22人、欧州またはカナダの22人、日本の9人。治療前、30人(57%)の患者は人工呼吸を、4人(8%)は体外式膜型人工肺(ECMO)による治療を受けていた。

フォローアップ期間の中央値である18日間に、53人のうち36人(68%)の患者が、呼吸のサポート度合いに改善が認められた。具体的には、人工呼吸を受けていた30人のうち17人がチューブを抜くことができた。また、25人(47%)が退院できた。

一方、53人のうち7人(13%)は死亡した。ECMOまたは人工呼吸を受けていた34人のうち、死亡したのは6人で、死亡率は18%。ECMOや人工呼吸を受けていなかった19人のうち、死亡したのは1人で、死亡率は5%だった。

今回の人道的使用では、比較対照群などが設定されていないことから、これらの結果を持ってレムデシビルの有効性を論じることは難しい。実際、研究チームも、今回はあくまで人道的使用であり、有効性の検証には、現在進行中のレムデシビルのランダム化プラセボ(偽薬)対照比較試験の結果が待たれるとしている。

ただ、今回の結果から、ECMOなどの人工呼吸を受けていた重篤な患者の死亡率が、そうした治療を受けていない重症の患者の死亡率よりも高いことが示唆されたとは言えそうだ。

(日経バイオテク 久保田文)

[日経バイオテクオンライン 2020年4月14日掲載]

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