世界、21年は5%成長予測 最悪なら2年連続マイナス

2020/4/14 21:30
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【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)は14日、2020年の世界の成長率見通しを大幅に下方修正した。新型コロナウイルスの影響を4つのシナリオで分析し、21年には5%台の経済成長を実現することを基本シナリオとしながら、感染拡大が収まらなければ2年連続のマイナス成長が避けられないとした。原油安や金融不安など世界経済は「多重危機」の最中にある。

新型コロナの収束時期はまだ見通せない(8日、ニューヨーク)=AP

IMFは14日公表した経済見通しで、21年の世界の成長率が5.8%になると予測した。新型コロナの日米欧経済への影響は4~6月期が最悪期とみており、基本シナリオは20年後半から景気は持ち直すとみる。金融危機直後も09年に0.1%のマイナス成長となったが、10年は5.4%のプラス成長だった。

今回もIMFは、日米欧と新興国が21年にはそろって回復軌道に戻るとみる。21年の日本の成長率は3.0%と分析。米国やユーロ圏も4%台後半の経済成長を見込んだ。中国は9%台、インドも7%台の成長率を取り戻すという。

ただ、IMFは「経済見通しは不確実性が極めて大きい」とも指摘した。新型コロナの収束を確実に見通せる状況になく、経済の回復軌道は(1)新型コロナの流行動向(2)感染封じ込めの効果(3)金融市場の反動(4)人混みを避ける消費者の行動変化――などで大きく変化するとした。

そのためIMFは20年後半に経済活動が再開する基本シナリオ(1)に加え(2)20年中の感染拡大の封じ込めに失敗(3)封じ込めには成功したが21年に再流行(4)封じ込めにも失敗して21年に再流行――の4つに分けて経済見通しを分析した。

20年の基本シナリオはマイナス3%の経済成長だが、20年中の感染封じ込めに失敗すれば、世界経済はさらに3%程度下振れすると分析した。経済活動の再開が遅れ、失業の増大が避けられないためだ。成長率のマイナス幅は6%程度となり、約90兆ドルある世界の名目GDP(国内総生産)は1年間で5.4兆ドル(580兆円)も小さくなる。

20年後半から想定通りに経済活動を再開できても、21年に新型コロナが再流行すれば、同年の世界のGDPは基本シナリオより5%も小さくなるという。最悪のシナリオは20年後半に経済活動が再開できず、21年にさらに感染が拡大するケースで、21年の世界経済は基本シナリオより8%も縮小する。2年連続のマイナス成長となって企業倒産が増え、1930年前後の世界大恐慌に近い状況になりかねない。

IMFは「政策として最優先すべきなのは、新型コロナの世界的な流行の封じ込めだ」と訴えた。一時的に経済活動を犠牲にしても、封じ込めに成功すれば景気のV字回復が可能になるためだ。経済を短期ショックにとどめるため「家計や企業、金融システムへのクッションが必要だ」とも指摘。家計への現金給付や給与補填、企業の債務繰り延べなどの資金支援が求められるとした。

世界各国は政府歳出や公的融資などで「8兆ドルの財政出動を用意している」(IMFのゲオルギエバ専務理事)。世界のGDPの1割弱に相当し、08~09年の政策対応を上回る規模になる。ただ、米国では4月の失業率が一気に10%前後に高まりそうで、景気悪化のスピードは過去例がない。経済対策は時間との闘いで、各国とも迅速な執行が求められる。

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