軽症者のホテル療養開始 大阪、初日は13人受け入れ

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、大阪府は14日、借り上げた民間のホテルでの無症状・軽症感染者の受け入れを始め、初日は13人の患者が大阪市内のホテルに入った。府はホテルでの受け入れを順次増やす考えで、11日からは自宅療養での対応も開始。感染者が急増した場合に備え、重症者向けの病床を確保する狙いだ。
受け入れを始めたのは「スーパーホテル大阪天然温泉」(同市西区)。府はこうしたホテルを5月までに3千室、最終的に6千室確保する計画だ。週内にも別のホテルでの受け入れを始める考えで、調整を急いでいる。
背景には病床の逼迫への懸念がある。府内では9日、1日当たりで最多の92人の感染を確認。府の吉村洋文知事は感染状況が「フェーズ1」(感染拡大期)から「フェーズ2」(危険水域)に入ったとの認識を示した。
府の想定ではフェーズ2の場合、1日平均で67人の感染者が出て、全員が入院する場合は1千床が必要になる。13日時点で入院中や入院を調整中の患者は計666人だが、府が確保できているのは約550床だ。

オーバーシュート(爆発的な感染拡大)に突入した「フェーズ3」では3千床が必要となり、1万2千人は自宅やホテルでの療養とする計画。府は感染拡大を受け、フェーズ2の段階から自宅やホテルでの療養を広げる考えだ。
ホテル内では二次感染を防ぐため、自衛隊から感染防止の研修を受けたホテルの従業員が、食事の提供などをする。感染の恐れがある「レッドゾーン」、防護服などを脱ぎ着する「イエローゾーン」、安全な「グリーンゾーン」にパーテーションで区分。感染者はレッドゾーンで過ごし、原則として外出は禁止だ。
医療機器が備わっていないため、看護師2人が常駐。日中は医師1人も常駐し、夜間は電話で連絡が取れるようにし、急変時に迅速に病院に搬送できるようにしている。
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