G7、コロナ対策で政策総動員 低所得国支援カギに
主要7カ国(G7)は14日、財務相・中央銀行総裁会議を開き、世界で感染が広がる新型コロナウイルスの対策を議論した。各国が財政・金融政策を総動員することを確認し、経済的な影響の大きい外出自粛などの措置を取りやすくする。カギは医療体制が脆弱な低所得国の支援だ。15日の20カ国・地域の会議で、コロナ禍の克服に欠かせない国際協調を演出できるかが焦点になる。
G7の財務相・中央銀行総裁がテレビ電話で会議を開いた。日本から麻生太郎財務相と日銀の黒田東彦総裁が参加した。
新型コロナは世界経済に深刻な影響を及ぼしている。国際通貨基金(IMF)は14日改定した世界経済見通しで、2020年の成長率はマイナス3%との予測を示した。金融危機後の09年以来のマイナス成長だ。
会議ではこうした世界経済の落ち込みを踏まえ、各国の対策を確認した。日本は国内総生産(GDP)の約2割に相当する108兆円の経済対策をまとめた。米国やドイツなども同様に大規模な財政出動を決めている。金融政策では社債の買い入れなどで企業の資金繰りを支援する。各国とも必要なら追加の措置に踏み切る構えだ。
新型コロナは世界で感染が広がり続けている。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、感染者は世界で192万人に達した。死者数は11万9千人にのぼる。米国が最も多く、イタリアが次ぐ。アフリカや中南米などの新興国でも感染は広がっており、病院や医師などが乏しいため一部では深刻な医療崩壊が発生する。
先進国が新型コロナを封じ込めたとしても、新興国で感染拡大が止まらなければ、再び流行する恐れがある。会議後に記者会見した麻生財務相は「世界経済の回復に大きなリスクになる」と指摘。新型コロナ対策に資金を投じられるよう、G7は低所得国の資金繰り支援でおおむね一致した。
ただ、低所得国の最大の債権国は中国で、G7だけでは限界がある。15日に開く20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議に向けた地ならしというのが今回のG7テレビ会議の実情でもある。
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