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インド全土封鎖、5月3日まで延長 マイナス成長も

インドはムンバイのスラムなどで感染集中地域が出た=ロイター

インドのモディ首相は14日、新型コロナウイルスへの感染予防策として実施している全土封鎖を5月3日まで延長すると表明した。4月14日に終える予定だったが、感染者の増加が止まらず継続せざるを得ないと判断した。20日までに宗教施設や貧困地区など感染者が集中する地域を点検する。全土封鎖の延長が響き、2020年はマイナス成長に陥るとの予測も出てきた。

モディ氏は国民向けテレビ演説で「人々は困難に直面しているが、感染者が急速に増えている」と語り、延長を決めた。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、全土封鎖を始めた3月25日時点のインドの感染者は657人だったが、4月13日には1万453人と約16倍に膨れ上がった。

インドの全土封鎖は自動車や家電などの工場をすべて止め、人々の外出は食料や医薬品の買い出しに限っている。散歩やジョギングも難しく厳格に封鎖した。それでも感染者が増えたのは、インド各地で感染集中地域が出現したためだ。

首都ニューデリーでは3月半ば、イスラム教徒の宗教行事に6千人以上が集まり、千人以上が感染した。商都ムンバイでも1日にアジア最大級のスラム「ダラビ地区」で感染による死者が初めて出た。ここは東京ドーム40個分ほどの敷地に100万人以上の貧困層がひしめき暮らしており、感染者が50人弱に増えた。

こうした感染者が集中する地域は、デリー周辺だけで40を超えるという。これ以上増やさないため、インド政府は20日まで各地の状況を詳しく点検する。集中的な感染がみられなかった地域では、一部の経済活動の緩和を検討するとしている。

インドは全世界の人口の2割弱にあたる13億人の国民を対象に全土を封鎖している。もともと医療体制が脆弱なため、感染者が少ない段階から封鎖に動いたものの歯止めがかかっていない。

欧米など先進国と異なり、国民の8割が貧困層のインドでは住む場所や十分な食料さえない人が街中にあふれている。国際通貨基金(IMF)の調べでは、インドの1人あたり国内総生産(GDP)は19年時点で2340ドルと、先進国平均の約20分の1しかない。

貧困層には5キログラムの米か小麦を無償で支給するなどの措置を公表したが経済対策が不十分との声が少なくない。モディ氏は「貧困層や農家が安心できる仕組みが必要だ」と語り、15日に新しい支援策を公表するという。全土封鎖以降、農村からの出稼ぎ労働者が大量に失職するなど、経済面での不安が強まっている。

全土封鎖の影響を踏まえ、民間調査機関の中にはマイナス成長を見込む声も出てきた。インドの実質経済成長率は19年10~12月期に前年同期比4.7%と、すでに約7年ぶりの低い水準に落ち込んでいだが、一段の減速が避けられない。

ノムラ・シンガポールは20年の成長率見通しをマイナス0.5%に引き下げた。四半期別では4~6月期がマイナス6.1%、7~9月期がマイナス0.5%と予測し、2四半期連続でGDPが前年同期の水準を下回るとした。同社は「銀行の経営危機もあり、金融機関は将来の債務不履行リスクが増すだろう」との見方を示す。

モディ氏は全土封鎖を始める際に「経済的なコストが伴うが、ウイルスと戦うには断固とした措置が欠かせない」と言及した。唯一の手段と位置づけた全土封鎖の効果がまだわかりにくく、経済に負荷をかけた長期戦に突入しつつある。

(馬場燃)

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