人工呼吸器の参入手続き数日で 承認巡る改革課題

2020/4/13 23:00 (2020/4/14 5:09更新)
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新型コロナウイルス感染症の入院患者に装着された人工呼吸器(3月20日、フランス・バンヌ)=ロイター

新型コロナウイルス感染症の入院患者に装着された人工呼吸器(3月20日、フランス・バンヌ)=ロイター


厚生労働省は13日、新型コロナウイルス感染症の拡大で不足が懸念される人工呼吸器の増産に向け、異業種からの参入企業に対する品質調査などを迅速に進めると発表した。米欧は参入促進へ規制緩和やノウハウの普及などの努力を重ねており、日本も製品の承認に関する制度改革の加速を迫られる。

製造販売業者と組んだ異業種のメーカーが、部品を製造したり組み立てたりする場合に品質を確認する実地調査を事後に回す。従来は4カ月程度が目安だったが数日に短縮できる。

本来は医薬品医療機器法に基づく品質調査や手続きが生じ、時間がかかっていた。品質調査は書面で済ませ、事後で追加確認する。既存メーカーと組む異業種の参入を促す狙いだ。

米国はすでに人工呼吸器の素材や部品に関する規制緩和で異業種の参入を促し、ゼネラル・モーターズ(GM)が6月までの製品出荷をめざす。英国も製造仕様の公開や承認条件の明示を進め、ダイソンが製品を完成させた。

■新規参入になお工夫必要
 新型コロナウイルスの感染拡大で供給不足が懸念されている人工呼吸器の確保に向けて、厚生労働省が規制を緩和する。既存の医療機器メーカーの対応力には限界があるため、政府は異業種が医療機器メーカーと組んで生産を分担するやり方を想定する。審査基準の緩和で異業種を呼び込む狙いだが、異業種が安心して生産できる体制づくりにはなお工夫が要る。
 重症患者の治療に使う人工呼吸器について安倍晋三首相は「1万5千台を確保し、さらに増産する」と表明していた。政府は当初、既存メーカーの増産を想定して補助金を用意した。
 生産を呼びかけたものの、人命に関わる医療機器の生産には厳格な規制がある。経験の乏しい異業種にはわかりにくさがつきまとい、新規参入に二の足を踏んでいる現状がある。
 感染者数の違いはあるが、海外は先行している。米国では軍事物資を増産させることができる「国防生産法」を発動したうえ、人工呼吸器の製造に関する一部規制を緩和した。英国では政府が製造仕様を公開するなどし、各国政府は相次いで非常時の対応に踏み切った。米ゼネラル・モーターズ(GM)や英ダイソンなどが人工呼吸器の製造の準備を進める。
 重症患者の急増に備えた人工呼吸器の増産は待ったなしだ。政府が前面に出ている海外と比べると、日本は審査の短縮だけでは不十分だ。医療機器メーカーと組む異業種をマッチングする精度を高める必要がある。製造仕様の共有など実務に配慮した体制づくりも急務だ。

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