避難所「3密」の回避急務 梅雨の大雨災害など警戒

2020/4/13 19:19
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台風19号による浸水被害で、大勢の人たちが身を寄せた長野市の避難所(2019年10月)

台風19号による浸水被害で、大勢の人たちが身を寄せた長野市の避難所(2019年10月)

新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、災害発生時に避難所での感染爆発をどう防ぐかが課題となっている。梅雨や台風のシーズンを迎える夏から秋にかけて災害リスクは高まるが、避難所は「密閉・密集・密接」の3条件がそろいやすく、国も各自治体に対策を求める。専門家は避難所を増やして被災者を分散させるなど、防災対策の見直しが必要だと指摘している。

発達した低気圧の影響で広い範囲で大荒れの天気となった13日、千葉県鴨川市や南房総市は土砂災害の危険が高まったとして、計552世帯1378人に避難勧告を出した。実際に避難した人はいなかったが、鴨川市は新型コロナの感染防止のため、避難所に体温計やマスク、アルコール除菌シートを用意した。

飛沫感染や接触感染で広がる新型コロナは、密閉した空間に多人数が密集し、密接した距離で話す「3密」の場で感染リスクが高まるとされる。災害時の避難所は体育館や公民館、学校の教室などが利用されることが多く、3つの要件を満たしやすい。

北海道標茶町では3月、雨や雪解け水の影響で川が増水し、町内の2410人に避難指示を出した。254人が避難所に身を寄せ、同町は避難所の入り口に消毒液を置き、避難者同士が近づきすぎないよう床にテープを貼ってスペースを区切った。町内で感染者は出ていないが、担当者は「普段以上に気を使い、人手もかかった」と振り返る。

国も避難所での感染爆発を懸念しており、内閣府や厚生労働省などは1日、災害時は可能な限り多くの避難所を開設して避難者のスペースを十分確保し、換気や避難者の手洗い、せきエチケットを徹底するよう各自治体に通知した。菅義偉官房長官は13日の記者会見で「内閣府などの関係省庁が自治体に適切な助言、支援など必要な対策をする」と語ったが、自治体の対策に課題も少なくない。

「避難者が殺到したら距離を保つことが難しい」。2019年の台風19号で甚大な被害を受けた宮城県丸森町の担当者は嘆く。当時は最大約500人が避難所を利用し、そのうち142人は同じ小学校の体育館で過ごした。「避難所として使える施設はどこもスペースが狭く、密集しないようにするにも限界がある」と話す。

長野市の防災担当者は備蓄不足を心配する。災害時を想定して備蓄していたマスクの多くは、新型コロナの感染拡大を受け、県内の医療機関などに既に提供した。「いま大規模な災害が起これば、避難者向けのマスクが足りなくなるかもしれない」と話す。

避難所での感染症対策に詳しい新潟大の榛沢和彦特任教授(心臓血管外科)は、感染防止には避難者1人当たり2メートル四方のスペースが必要としたうえで「床に落下したウイルスを含んだ飛沫を吸い込む危険があり、簡易ベッドなどを用意することが望ましい」と指摘。避難者の密集を防ぐため「トイレや避難所そのものを多めに設置して避難者を分散させ、発熱している人向けに別の避難所を用意するなど、抜本的な対策が求められる」と話している。

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