アジア開銀、緊急融資2兆円に拡大 コロナ対策支援
浅川総裁「政策協調で金融危機回避を」

2020/4/13 17:51 (2020/4/13 23:42更新)
保存
共有
印刷
その他

政府の経済対策や感染防止の取り組みなどを後押しする(インド政府の支援策を受けてコメの配給を受けるために並ぶ人々)=AP

政府の経済対策や感染防止の取り組みなどを後押しする(インド政府の支援策を受けてコメの配給を受けるために並ぶ人々)=AP

【マニラ=遠藤淳】アジア開発銀行(ADB)は13日、新型コロナウイルス対策に取り組む加盟国・地域を支援するため、総額200億ドル(約2兆2千億円)の緊急融資・無償援助を行うと発表した。3月に決めた総額65億ドルから3倍に増やす。政府の経済対策や感染防止の取り組みなどを後押しする。

200億ドルの緊急融資は2019年の融資・無償援助の総額にほぼ相当する。180億ドルを加盟国・地域の政府に融資し低所得者層の生計支援といった経済対策や、新型コロナの人工呼吸器など医療物資の購入に充ててもらう。残りの20億ドルは中小・零細企業を中心に民間企業に融資し、資金繰りを支援する。

審査などの手続きを短縮し、早期に案件を承認する方針だ。通常より数カ月早く融資する。金利も通常より低く設定する。既にインドやインドネシア、フィリピン、ベトナムなど10カ国程度と協議しており、月内にも具体的な手続きに入る。

新型コロナはアジア新興国も直撃している。ADBが3日に示した予測では20年のアジア新興国(アジア大洋州の46カ国・地域)の国内総生産(GDP)の前年比伸び率が2.2%にとどまり、アジア金融危機後の1998年の1.7%に次ぐ22年ぶりの低さとなる。大規模な緊急支援でアジア新興国での感染拡大を防ぎ、早期の景気回復に道筋をつけたい考えだ。

ADBの浅川雅嗣総裁=写真=は13日、日本経済新聞のインタビューに応じ、「新型コロナウイルス問題が金融・通貨危機に拡大しないよう、国際的な政策協調が重要だ」と話した。一問一答は次の通り。
 ――新型コロナが世界経済に影を落としている。
 「1997年のアジア通貨危機と比べると、今はまだ金融危機には陥っておらず、市場は何とか持ちこたえている。だが感染拡大が続けば、さらなる落ち込みは避けられない。主要20カ国・地域(G20)などの各国政府や国際金融機関は個別ではなく、協調して施策を打ち出す必要がある」
 「世界銀行や国際通貨基金(IMF)と緊密に連携しながら支援していく。(中国が主導する)アジアインフラ投資銀行(AIIB)も支援策を発表したが、融資対象がインフラ開発であれば、各国にとって今は緊急性は乏しいのではないか」
 ――各国が低所得層向けなどの経済対策を打ち出している。
 「景気悪化で税収が落ち込むなかでは財政赤字が拡大する。総額200億ドルのうち130億ドルが財政支援向けだ。各国から寄せられた必要額を積み上げたもので、当面の財政状況には対応できるだろう」
 ――コロナ問題ではグローバル化による負の側面を指摘する声もある。
 「中国から生産拠点を周辺国に移すといった動きが加速するかもしれないが、経済のグローバル化の流れは変わらない。新型コロナが収束すればアジアは引き続き世界の成長センターになるだろう。それまで金融、財政面の支援措置でつないでいかなければならない」
保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]