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気になるセ、パ格差 OP戦はパの26勝20敗5分け
編集委員 篠山正幸

2020/4/14 3:00
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スポーツ界の時間を止め、全てを霧の中に包んだ新型コロナウイルス。プロ野球のオープン戦で気になっていたことを確かめる機会も、しばしお預けとなる。気になっていたこととは、セ・パの実力格差の問題だ。

2月16日の巨人―DeNA戦(那覇)で始まったオープン戦は予定された86試合のうち、雨天などで11試合が流れ、75試合が行われた。

新型コロナの影響でプロ野球は無観客でのオープン戦、開幕延期と大きな影響を受けている=共同

新型コロナの影響でプロ野球は無観客でのオープン戦、開幕延期と大きな影響を受けている=共同

この間、コロナウイルスによってプロ野球のカレンダーはズタズタにされていった。まず2月末、以後のオープン戦を無観客とすることを余儀なくされる。3月12日、開幕を当初予定の同月20日から4月10日以降とすることを決定。感染の拡大を受けて、さらに開幕日はずれ込み、3月23日には4月24日以降へと繰り下げた。東京五輪の延期決定を挟み、4月3日の協議では24日開幕の目標を取り下げざるを得なくなった。

今季、オープン戦とはいえ、曲がりなりにも、プロ野球の1軍の試合を見られたファンは14試合で7万3837人にすぎない。うち13試合は沖縄で行われ、鹿児島以北では2月23日、宮崎市清武総合運動公園野球場(愛称:SOKKENスタジアム)で行われたオリックス―ソフトバンクの4013人が観戦しただけだ。

コロナウイルス禍に、いつ区切りがつくともわからず、ふだんの公式戦なら2、3試合で集客できる「7万3837人」が、当面、今季のプロ野球の総動員数であり続けることを思うと、背筋が寒くなる。

プロ野球自体が危機にあるときに、セ、パの格差などとはいっていられないのだが、一瞬だけ、コロナウイルスを頭の隅から追い払って、考えてみたい。

75試合行われた今季のオープン戦のうち、セ・パ各リーグ内の対戦が24試合あり「セ・パ対抗」となったのは51試合。その対戦成績はパ・リーグの26勝20敗5分けだった。総得点はパ・リーグ222点、セ・リーグ170点。パ・リーグが大勝する試合が少なくなく、平均で1点以上、上回った。

3月15日のオープン戦終了後は各チームが当初の開幕予定に合わせて、リーグ内での練習試合を消化したが、3月18日にDeNAとロッテが横浜スタジアムで練習試合を行っている。これはロッテが6-2で勝った。

■OP戦の勝敗は選手の素材の差

オープン戦は勝負度外視だから、勝ち負けを論じる意味がないという議論は当然ある。

しかし、勝ち負けを度外視して、必要のない場面で盗塁を試みたり、試したい投手を機械的に投入したり、という試合は選手の素材で勝負が決まる、という色合いが濃くなる。

人間の営みに対する表現としては適切でないのだろうが、チームを「馬なりに走らせてみた結果」とみれば、結局、どちらのリーグにいい持ち駒がいたか、を示す結果ともいえないだろうか。

3月13日、東京ドームでの楽天戦に敗れ、オープン戦8連敗(3引き分けを挟む)となった巨人・原辰徳監督は苦笑いを浮かべたものだった。「特に(勝敗に)こだわってはいないけどね。しかしこだわってなくても、というところ。じゃあ、こだわろうかというわけにもいかないしね」

巨人の原監督をはじめ、セ・パの実力差の存在を認める発言が増えてきた=共同

巨人の原監督をはじめ、セ・パの実力差の存在を認める発言が増えてきた=共同

勝負にはこだわっていなくても、これだけ負けがこんで気持ちのいいはずがない。結局巨人はこのあとも1分け1敗で、9連敗でオープン戦を終えた。連敗中、パ・リーグ相手の負けは6試合。

原監督のコメントは決して「対パ」を意識したものではない。ただ「こだわってなくても」の部分には「それにしても、これだけ負けることはないんじゃないか」という続きがあるようにも思われ「馬なりに走らせた結果」への困惑が感じられた。

ちなみに、その後、本来の開幕当初の対戦カード通りに行われたリーグ内の練習試合ではDeNA、中日に4連勝と、不安を一掃しているのだが……。

2005年に始まったセ・パ交流戦は昨年までの15年でパ・リーグが14回勝ち越し、セ・リーグが勝ち越したのは09年の1年だけ。

日本シリーズは昨年までの10回中、セ・リーグの優勝は12年の巨人のみだ。現在パ・リーグが7連覇中で、過去20年に遡っても、日本一はパ・リーグの14回に対し、セ・リーグは6回にとどまっている。

昨年、ソフトバンクにストレートで敗れた巨人の原監督はDH制の有無が違いをもたらしている可能性を示唆した。DH制が採用されたのはきのうきょうの話ではなく、因果関係はよくわからないが、注目されるのは原監督をはじめ、セ・パの実力差の存在を認めたり、あるいはそれを前提としたりする発言が増えてきたことだろう。

「パ高セ低」の傾向に拍車がかかりつつあるのか、あるいはもう少し長いスパンでみたら、一時的な現象にすぎなかった、となるのか。セパ交流戦はその手掛かりを与えてくれるはずなのだが、その日程さえ、今はコロナの霧の中だ。交流戦が省かれる可能性もある。

もしパ・リーグ優位が常態化したのなら、プロ野球界にとって好ましいことではない。どんな結果が出るにしろ、交流戦が行われるならまだいい。まずいのはセパの真剣勝負の場がなくなることで、格差議論が棚上げされ、思考停止に陥ることだ。

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