長期休校、オンライン授業の環境整備急務 教員の習熟も

2020/4/10 19:29
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新型コロナウイルス感染拡大による休校の長期化で、文部科学省はインターネットなどによる遠隔授業の導入への対応を急いでいる。10日には遠隔授業でも著作権者の許可なしに著作物を活用できるようにする改正著作権法の施行政令が閣議決定された。ただ、現時点で遠隔授業に対応できる環境が整う学校は一部にとどまっており、課題は多い。

改正著作権法は28日に施行される。2018年の法改正で対面授業の印刷配布などに限られていた著作物の無許可利用の範囲を拡大。管理団体に補償金を支払えば教材をネットで送受信できることも可能になった。

当初は21年の施行予定だったが、新型コロナの感染拡大に伴い、遠隔授業の導入環境を後押しするためスケジュールを前倒しした。管理団体は20年度に限り補償金なしで著作物を利用できる方針を決めている。

一方、文科省は新型コロナの感染拡大による休校長期化を視野に、遠隔授業の導入に向けたハード面の支援策をまとめた。

動画を見られる通信環境を整えるため、小中学生に100万台以上のルーターを貸与するほか、「1人1台」の通信端末を23年度までに整備する計画を20年度中に前倒しする。学校で教員が使うカメラやサーバーなどの設備費も援助。大学や高等専門学校でも同様に遠隔授業の導入を促す。

ただ、支援策が出そろっても当面の新型コロナ対策に追われ、遠隔授業に対応できない学校も多い。対面授業とは大きく環境が異なり戸惑いも広がっている。

都内のある区の教育委員会の担当者は「児童生徒の健康管理や保護者への対応など新型コロナ対策を最優先しており、遠隔授業までは手が回らない」とため息をつく。当面は都教委が公開するポータルサイト上のドリルなどでの家庭学習を推奨する。休校が長引いた場合は「そのときに考えるしかない」と話す。

都内の高校に勤める40代の男性教員は「カメラに向かって授業をするのが慣れない。生徒の反応が見えにくいし、ちゃんと伝わっているのか不安だ」とこぼす。休校に対応し、男性の高校は受験生向けに教科ごとの指導動画を収録した。生徒からはメールで質問を受け付けるが、どれだけ理解しているかは文面では分かりにくいという。

専修大の望月俊男准教授(教育工学)は「テレビ会議すらやったことない教員が多く、設備よりもソフト面の課題が大きい。指導方法としてネットを上手に活用できないのでは」と懸念する。

教員向けの研修や経験のある学校との情報交換が必要だと指摘した上で「今や子どもたちの方がネットに詳しい。例えば、ファイルのアップロードを頼むなど技術面で協力してもらえばいい。コミュニケーションをとりながら授業を進めれば、ネットを通じた距離感の取り方にも慣れてくるだろう」と話している。

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