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信用危機 薄氷の封じ込め FRB、低格付け社債に異例の支援

2020/4/14 4:30

「米連邦準備理事会(FRB)が『ダブルダウン(2倍賭け)』に出た」。

FRBが2兆3000億ドル(約250兆円)もの新資金供給策を公表した米国時間9日、米ゴールドマン・サックスはこんなタイトルのリポートを出した。「ダブルダウン」はブラックジャックで賭け金を2倍に引き上げる戦略で、ハイリスク・ハイリターンの選択を意味する。

■ソフトバンクG債、大幅な下落

市場を驚かせたのは格付けがダブルBまでの低格付け(ハイイールド)債を対象とした新プログラムだ。デフォルト(債務不履行)リスクの高い債券の購入は上場投資信託(ETF)まで買い上げている日銀すら踏み込んでいない未知の領域だ。

FRBを突き動かしたのは市場で加速していた「質への逃避」だ。新型コロナウイルスの打撃で米経済は「4~6月期は年率30%超のマイナス成長になる」(イエレンFRB前議長)とみられる。「デフォルトリスクがハイイールド債に集中しかねない」(米債券運用大手ピムコのマーク・キーセル・グローバル・クレジット最高投資責任者)との懸念から、マネーはFRBの支援が見込める高格付け債に集中していた。

FRBの発表を受け、米インターコンチネンタル取引所(ICE)の米ハイイールド債の国債利回りに対するスプレッド(上乗せ幅)は7.9%と、一時10%超えの水準から急低下(債券価格は上昇)した。BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットストラテジストは「ハイイールド債にも大いなるセーフティネット(安全網)が出てきた。当面は劇的にスプレッドが戻るだろう」と予想する。

危機封じ込めにあらゆる手を打つFRB。だが、実体経済の急降下という不安が消えるわけではない。借り換えなど資金繰りは支援できても、「需要の蒸発」という企業の苦境は続く。

東京市場で逆風を真っ向に受けているのが社債市場で大きな存在感を持つソフトバンクグループ(SBG)だ。

「こんなに価格が変動するとは」。普段は主に株式投資を手掛ける愛知県在住のhidiさん(ハンドルネーム、39)は2019年に買ったSBGの個人向け社債の価格(参考値ベース)を調べて驚いた。購入時から15%下落していたのだ。満期まで持つ予定で実損を被ったわけではないが、今後の社債購入には慎重にならざるを得ないと話す。投資先企業の経営悪化などへの警戒感で、SBGの信用リスクを取引するクレジット・デフォルト・スワップの保証料率は一時5%前後と09年以来の水準に上昇した。

やや落ち着いたとはいえ、新型コロナの収束が読めない以上、マーケットには「二番底」懸念がくすぶり続ける。そんな中でも一部の投資マネーは「コロナ後」をにらんで動き出した。

■「モラルハザード銘柄」探す

ある国内債券投資家は、新型コロナの影響が出始めた時点でいったん持ち高を整理して浮かせたキャッシュを、新規投資に回しはじめている。「今は一部で明らかに売られすぎがある。換金売りで安値で手放す売り手がいるので好機だ」と語る。

コロナ禍を受けて各国が産業保護に動いたのに先回りし、「政府救済候補」の社債を安値で買おうという抜け目のない戦略も一部で浸透しつつある。ある市場関係者は「航空や自動車など、新型コロナの打撃が深刻でも、その国にとって欠かせない企業はどこか。政府の救済の線引きを読む『モラルハザード投資』がキーワードだ」と話す。

危機は深まるのか。リスクテークが報われるのか。金融システムの「炭鉱のカナリア」、クレジット市場の深奥を追う。

[日経ヴェリタス2020年4月12日号に全文掲載]

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