JR東日本、社債1250億円発行 環境悪化に備え
JR東日本は10日、総額1250億円の社債を発行すると発表した。同社として一度の発行では過去最大額となる。当初は600億円程度の調達を想定していた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経営環境の悪化を受け、調達額を増やして手元資金を厚くする。
社債の発行は今年1月以来約3カ月ぶりで、発行するのは3年債500億円や10年債200億円など6本。同社として2度目となる50年債も含まれる。利率は0.15~0.992%だ。調達する資金は、有利子負債の償還資金に充てるほか、手元資金を積み増す方針。格付けは格付投資情報センター(R&I)から「ダブルAプラス」を取得した。
新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛などの影響で、3月の新幹線の利用は前年同月比53%減、在来線特急は56%減だった。2~3月の定期外収入は前年同期間に比べ730億円減った。鉄道事業の営業費用はほぼ全てが固定費のため、同額程度の減益要因になるとみられる。
首都圏で外出自粛要請があった4月4、5日の土日の新幹線利用は83%減と落ち込みが拡大。山手線の利用も75%減った。4月7日に政府が発令した緊急事態宣言の影響で、利用者はさらに減少する見通しだ。
JR東は例年、3月末には3000億円程度の手元資金を確保している。昨年12月末時点の手元資金は約1800億円だった。今年3月にはコマーシャルペーパー(CP)を期間6カ月超で1500億円発行。従来は1~4カ月程度で金額も数百億円だった。さらにその後、CPの発行枠を1500億円から5000億円に拡大した。
深沢祐二社長は4月7日の定例記者会見で「当座の借越枠やコミットメントラインなどについては十分な枠を持っている」としたうえで「社債の発行や借り入れは20年4~6月期には通常より多い形で調達していく」と話していた。

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