3月のビール販売13%減 新型コロナで飲食店向け打撃

2020/4/10 15:48
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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ビール消費への逆風が強まっている。ビール4社が10日発表した3月のビール系飲料の販売量は、前年同月比で13%減少。アサヒビールの「スーパードライ」は28%減とリーマン・ショック後の09年2月に次ぐ下落幅となった。宴会などの中止で飲食店やホテル向けの落ち込みが響いた。東京都などを対象に緊急事態宣言が発令された4月はさらに需要が冷え込む見通しだ。

飲食店の休業が相次ぎビール需要は一段と冷え込む見通しだ(東京都中央区)

3月のビール系飲料の販売量はアサヒビールとキリンビール、サッポロビール、サントリービールがそれぞれ発表した。前年同月比で、割安な第三のビールがほぼ横ばい、発泡酒が3%減にとどまった半面、ビールが27%減と大きく減った。

宴会や飲食店の営業自粛により、瓶や樽(たる)の販売が減少した。時間の経過とともに減少幅は大きくなっている。

企業別でビール系飲料の販売が最も落ち込んだのは25%減のサントリービールだ。19年に好調だった新商品販売の反動減が響いた。

アサヒビールは販売額ベースで19%減。スーパードライの直近約10年の単月の減少幅としては、09年2月の44%減に次ぐ水準だ。ビールの販売量の半分を占める飲食店向けで、瓶ビールの販売が半減。居酒屋のビールサーバーにつなぐ樽も3割減った。

キリンビールは割安な第三のビールが好調で全体の下げ幅を5%減に抑えた。サッポロビールも第三のビールが下支えして11%減だった。

外出を控える巣ごもり消費が長引き、スーパーで酒類を買い込む動きも一部で見られる。まとめ買いの中心は第三のビールのほか、割安な缶酎ハイが中心だ。とりわけアルコール度数が9%程度と、5%のビールを上回る「高アルコール」の缶酎ハイの人気が高い。

調査会社のインテージによると、缶酎ハイなど割らずにすぐ飲めるアルコール飲料の販売量は1月6日以降の週単位で前年同週比で約1割増のペースで伸びが続く。同社は「1本で早く酔える方が経済的だと感じる消費者も多いのではないか」と分析する。ビール各社は利益率の高いビールの下落を食い止め、缶酎ハイの販売増で乗り切りたい考えだ。

4月もビール系飲料の販売減は続きそうだ。「かき入れ時のゴールデンウイークに一大消費地の大都市圏で飲食店が営業短縮や休止に動くのは痛手だ」(ビール大手幹部)。夏場に向けたビアガーデンも今年は縮小が見込まれるうえ、夏場の最需要期に「家飲み」需要が期待された東京五輪も延期された。

各社は販売戦略の練り直しを迫られているが、打つ手は限られる。飲食店向けのビールの対面営業も自粛を余儀なくされている。ビールメーカーは自社商品を扱う飲食店に経営支援のため資金を提供するケースも考えられるが、休業が長期化すれば経営が危ぶまれる店が増えるなかで、資金にも限界がある。東京都が打ち出した飲食店に支給する協力金の兼ね合いなどを見極める考えだ。

ビール各社が展開する飲食店は軒並み営業を休止する。アサヒは安全確保を最優先してほば全ての直営店の休業を決めた。キリンも全39店の大半で営業を休止した。サッポロホールディングス傘下の「銀座ライオン」の各店舗も13日から一部店舗を除き休業する。

各社が期待を寄せるのは新型コロナで窮地に陥った飲食店に対する国税庁の救済策だ。通常は飲食店から酒類を持ち帰ることができないが、今回6カ月の期限つきで持ち帰りで酒類を販売できるようにする免許を事業者に与える。ビール各社としては販路を少しでも広げる頼みの綱になる可能性がある。実際にどこまで迅速に免許の交付が進むかは不透明だ。

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