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歴史的な変化、米財務省とFRBの異様な「連結」

9日発表された米連邦準備理事会(FRB)の2.3兆ドル緊急流動性供給プログラムは、金融史上に残る出来事だ。

民間銀行の企業向け融資はFRB傘下の特別会社が買い取る。もし貸し倒れリスク等が生じれば、財務省が損失を補填する。

かくして、中央銀行の信用が損なわれることなく、コロナ禍で瀕死(ひんし)の企業を広範囲に支援できる。「ヘリコプターマネー」の制度化である。

中央銀行と財務省のバランスシート「連結」の始まりとも映る。中央銀行は「政治的独立性」に関する議論から解放されるかもしれない。

これは歴史的な変化だ。これまでタブーとされてきたことが、「ウイルスとの戦争」に勝つための「戦時対応」として正当化された。新型コロナウイルスによる経済大波乱は長期的視点で「一過性」としても、中央銀行と財務省の一体化は「新常態」となる可能性が今や無視できない。

財務省の後ろ盾があればこそ、中央銀行たるFRBも、ハイイールド債やジャンク債にまで買い取り対象を拡大できる。市場では既にジャンク債上場投資信託(ETF)価格が急上昇している。

結果的に、ゾンビ企業にも生き残りの道が開けた。おカネを借りまくっても、財務省・中央銀行連合軍に救済してもらえる。壮大なモラルハザードが醸成されよう。日本にとっても人ごとではない。

まずはコロナウイルスの封じ込め。そして、混乱した経済の終息。後者は金融システムのパラダイム・シフトとなる可能性が出てきた。

豊島逸夫(としま・いつお)
 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com

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