FRB、一般企業に資金供給 英中銀は政府に短期資金融通

2020/4/9 22:10 (2020/4/10 5:42更新)
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一般企業には民間銀行を通じて6000億ドルを資金供給し、1年間は無利子とする(パウエルFRB議長)=ロイター

一般企業には民間銀行を通じて6000億ドルを資金供給し、1年間は無利子とする(パウエルFRB議長)=ロイター

【ワシントン=河浪武史、ロンドン=篠崎健太】主要国の中央銀行が新型コロナウイルスに伴う経済危機克服に向け、異例の措置に相次いで踏み切った。米連邦準備理事会(FRB)は9日、一般企業への融資など新型コロナに対処する2兆3000億ドル(約250兆円)の緊急資金供給策を決めた。英国のイングランド銀行(中央銀行)も9日、英政府が一時的に資金不足になった場合に短期の資金を融通する仕組みを拡充すると発表した。企業や政府にマネーを供給する中銀の政策対応は、未踏の領域に入りつつある。

FRBの緊急資金供給策のうち、一般企業向けは民間銀行を通じて6000億ドルを提供し、1年間は無利子とする。7500億ドルの資金枠を設けて大企業などから社債の買い取りも開始する。資金繰り難の企業に中銀がマネーを供給するのは極めて異例だ。

FRBの新たな資金供給は、米政権と議会が3月末に決めた2兆ドルの景気対策の一環だ。最大の柱は、従業員1万人以下の一般企業に、民間銀行を通じて6000億ドルを融資する制度の新設。民間銀が一度は融資するが、95%分はFRBが設立する特別目的事業体(SPV)が買い取る。事実上、民間企業に直接資金供給する緊急措置だ。

主に大企業向けには7500億ドルの資金枠を設けて、社債の買い取りに乗り出す。格付けの高い企業向けだが、対象は償還期間が最大5年の社債で、中銀として一定のリスクを負う。これまでは償還期間の短いコマーシャルペーパー(CP)の買い取りにとどまっていた。景気対策では米財務省が航空会社の資金繰りを直接支援し、FRBの社債購入はホテルチェーンや小売業などほかの産業が中心となりそうだ。

州政府など地方債の買い取りなどにも5000億ドルを充てる。州政府は医療設備の整備などで財政負担が増しており、FRBが直接資金支援する。消費者ローンや中小企業の設備などを担保にした資産担保証券(ABS)の買い取りも拡大する。米連邦政府の中小企業向け融資の支援なども含めて、資金規模は2兆3000億ドルとなる。

2兆ドルの景気対策ではFRBに4500億ドルの資金を提供し、4兆ドルのマネーを最終的には供給するとしていた。FRBは同資金でSPVを設立し、政府マネーを損失の吸収材として使いながら企業などに資金供給することを想定している。今回の措置は当面は2兆ドル強でスタートするが、資金需要が大きければ規模を拡大する方針だ。

一方、英国の財務省とイングランド銀行が発表した新たな短期資金の融通策は、英政府が国債市場を通さず迅速にお金を手当できるようにするのが目的だ。資金繰りの緊張が国庫にまで及び始めたことを意味する。

中銀が政府から国債を直接引き受ける「財政ファイナンス」とは異なるが、短期の融通とはいえ中銀が資金を直接供給する意味では似た性格がある。新型コロナによる世の中の資金逼迫の異常性を示す動きといえる。

イングランド銀が政府に直接お金を貸し出す「W&Mファシリティー」という既存の枠組みを活用する。利用残高は米金融危機時の2008年に198億ポンド(約2兆6700億円)へ膨らんだが、09年4月以降は3.7億ポンドで横ばいが続き、ほぼ休眠状態だった。

英政府・中銀が資金融通策で合意したのは、新型コロナ対応で財政支出の急拡大が見込まれるためだ。外出制限措置によって経済活動が全土で停滞するなか、政府は休業者に月収の8割を支給するなど未曽有の経済対策に乗り出す。一方で納税猶予などで歳入は大きく落ち込む見通しで、国庫の資金収支は一時的な大幅悪化が避けられない。

英政府は通常、満期まで1カ月や3カ月などの短期国債を発行することで当座の資金を調達している。イングランド銀から直接借りることで、市場を通さず機動的に短期資金を工面できる利点がある。両者は共同声明で、国債での調達を抑えることで「市場機能を支える」効果があると説明した。借入金は年末までのなるべく早期に返済するという。

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