日銀、全国の全9地域で景気判断下げ 約11年ぶり

2020/4/9 14:11 (2020/4/9 18:59更新)
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新型コロナウイルスの感染拡大による景気の冷え込みが全国に及んでいる。日銀は9日発表した4月の地域経済報告(さくらリポート)で、全国の9地域すべての景気判断を下方修正した。全地域での引き下げはリーマン・ショック後の2009年1月以来、約11年ぶり。国内外の外出制限などで需要が落ち込み、個人消費や企業の生産活動に影を落としている。

日銀は同日開いた四半期に1度の支店長会議を初めてテレビ会議で実施した。黒田東彦総裁は新型コロナの感染拡大について「日本経済に深刻な影響を及ぼしている。経済の先行きは不確実性が極めて高い」と話した。

今回のさくらリポートは、新型コロナの悪影響が全国に例外なく広がっていることを裏付けた。1月の前回リポートで景気判断を引き下げたのは3地域のみだったが、この3カ月で急激に情勢が悪化。各地の景気判断から「拡大」ないし「回復」の文言が消え、「弱い動き」や「下押し圧力が強い状態」といった表現が並んだ。

項目別にみると、外出自粛の影響で個人消費の落ち込みが厳しく、全9地域が判断を引き下げた。日銀の本支店による企業への聞き取りでも「職場の懇親会や家族客の外食が落ち込み、売り上げが前年比5割減の店舗もある」(飲食業)といった声が上がった。「東日本大震災直後の落ち込みを超える大幅な悪化」(小売業)との意見もある。

インバウンド(訪日客)急減の影響も大きい。「訪日客のキャンセルが相次ぎ稼働率や客室単価が大幅に低下している」(宿泊業)、「上期の売り上げ見込みは過去最低」(旅行業)といった声が出た。

製造業も厳しく、生産の判断は近畿や中国など5地域が引き下げた。供給網の寸断で幅広い業種で部品調達が困難になったほか、多くのメーカーで工場停止や生産調整が広がる。電気機械は「中国などで工場の生産停止が相次ぎ、車載向け電子部品の減産を余儀なくされている」という。先行きについても「世界的な自動車需要の落ち込み懸念から不透明感が強い」(輸送用機械)との指摘が出た。

設備投資の判断引き下げは2地域にとどまった。「先行き不透明感から能力増強投資を縮小した」(自動車関連)との声が出たものの、「次世代通信規格『5G』や自動車の電装化などに積極投資を続ける」(電子部品・デバイス)と成長投資を続ける姿勢もうかがえる。

政府は7日、東京や大阪など7都府県に緊急事態宣言を発令した。9日に記者会見した日銀の山田泰弘・大阪支店長は「外出制限の徹底で早期に抑えられればいいが、1カ月以内に終息するかは誰にも分からない」と指摘。新型コロナが長期化すれば地域経済を一段と下押ししかねない。

日銀は27~28日に金融政策決定会合を開く。3月の前回会合では企業の資金繰り支援策を打ち出したが、企業からはなお「資金繰りが厳しくなっている」(宿泊業)との声が上がる。次回会合ではさらなる企業への支援拡充も検討課題になりそうだ。

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