ソフトバンクG、懸念WeWork再建に加わった訴訟リスク

ソフトバンク
2020/4/9 2:00 (2020/4/9 2:15更新)
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孫氏が率いるソフトバンクGはウィー再建で新たに訴訟リスクを抱えた

孫氏が率いるソフトバンクGはウィー再建で新たに訴訟リスクを抱えた

ソフトバンクグループ(SBG)が再建を進める投資先の米シェアオフィス大手ウィーカンパニーを巡り、新たなリスクが浮上している。ウィーの取締役2人は7日、SBGがウィー株の買い付けを取りやめた対抗措置として、SBGを提訴したと発表した。SBGの支援で経営再建を進める構図に変わりはないが、新型コロナウイルスの感染拡大が響き、ウィーの先行きは見通しにくい。足並みがそろわない状況が続けばさらに不透明感が増すことになる。

「SBGの行動はウィーの現在と過去の従業員を含めた少数株主に対する義務に反している」。SBGを提訴したウィー取締役2人は7日の声明でこう強調した。SBGも同日に出した声明で「自暴自棄で、過去半年の歩みや合意を間違った方向に導こうとするものだ」と反論し「徹底的に抗弁していく」と表明した。

争点となっているのは、SBGがウィー支援策の一環として2019年10月に決定した、最大30億ドル分(約3200億円)のウィー株を既存株主から買い取る計画だ。本来であれば、日本時間の4月2日までに完了する予定だった。ただ、決定後にウィー創業者アダム・ニューマン氏を巡る米当局の捜査が表面化するなど、買い付けに必要な複数の条件が満たされなかったため、2日に中止を発表していた。

今回、提訴した取締役2人はSBGの支援前からウィーの取締役を務めている。一人はニューマン氏が取締役に任命したルー・フランクフォート氏で、米高級革製品コーチの最高経営責任者(CEO)を務めた実績を持つ。もう一人は米ベンチャーキャピタルの代表でウィーの既存株主だ。

2人はウィーの代表取締役を監視し、同社株主の利害を守るための「特別委員会」のメンバーで、ニューマン氏らに指名された経緯がある。同委員会は、ニューマン氏を巡る米当局の捜査結果はウィーに重大な損害をもたらすものではないとしており、これらの点についての裁判所の解釈が焦点となる。

こうしたやり取りから、ウィーとSBGは全面的に対立しているようにも見えるが、実態はやや異なる。SBGは「全面的にコミットしていく」となおウィー支援を続ける方針だ。

背景にはSBGが既にウィーの経営を主導している実態がある。取締役会の構成を見直し、10人が就任できる取締役の枠のうち5つをSBG側がおさえている。SBG副社長のマルセロ・クラウレ氏がウィー会長に就任。今年2月には新CEOとして、不動産会社の再建で実績を持つサンディープ・マサラニ氏を選んだ。経営から退いたニューマン氏が保有する議決権の行使はウィー取締役会に委ねられている。

SBGの孫正義会長兼社長は自ら率先してウィー再建に向けた5カ年計画を取りまとめた。議決権を持たない株式などを含む経済持ち分比率は、SBGがファンドなどを通じた分も含めて5割強とみられる。既存株主からの買い付けは取りやめたが、債券の買い受けや金融機関に対する借り入れ保証などで支援していく考えだ。

「必要な資金と経営陣、事業計画を用意した。これによってウィーは反転する」。孫氏は2月にこう強調。ただ、一丸となって再建に挑むはずのウィーを巡り、既存株主などと対立するのはSBGにとって好ましい展開ではない。

ウィーは人員削減や事業整理などにより再建の途上にあるが、注力する本業のシェアオフィスは、二大拠点のカリフォルニア州やニューヨーク州で外出制限が相次ぎ発表され、利用収入の急減が懸念されている。19年9月末に8割近くだった稼働率は20年4月に入り、約6割に低下したとされる。

ウィーの経営環境が悪化している中で内輪もめの訴訟が足を引っ張れば、SBGの19年7~9月期の連結決算の巨額の最終赤字の主因となったウィーの再建はおぼつかない。

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