特許に着目 技術力の高い割安なガラス銘柄を探そう
工藤特許探偵事務所

日経マネー連載
2020/4/12 2:00
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写真はイメージ=PIXTA

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「企業が保有する特許の経済価値の総和と時価総額(株価)には相関がある」という仮説に基づき、技術力に比べて株価が安い「技術割安株」を、工藤一郎国際特許事務の力を借りて探してみた。

◇  ◇  ◇

今回は「ガラス・セラミック」関連銘柄から技術割安株を探してみよう。ガラス・セラミックは建材の他、スマートフォンなど電子機器の製造にも欠かせない部材だ。また、次世代電池「全固体電池」の固体電解質としても注目されている。以下、独自算出の「YK値(下図参照)」に対して株価が割安となっている上位4銘柄を紹介する。

第1位は光学ガラスで世界トップクラスのメーカーであるオハラ。光学ガラスとは主にレンズや光ファイバーの材料となるガラスだ。同社の主力はレンズ関連だが、注目すべきは「光フィルター」向けのガラスだ。光フィルターとは光ファイバーによる通信網に欠かせない部品。次世代通信規格「5G」の普及は光通信網の増強にもつながる。いずれ同社にも5G普及の恩恵がもたらされると予想する。

第2位の品川リフラクトリーズは耐火レンガで世界トップクラスのメーカー。レンガと言っても通常の住宅に使う建材ではなく、製鉄用の高炉やごみ焼却炉の内壁に使用するものだ。超高温に耐える素材の製造には高い技術が必要で、国内では同業の黒崎播磨(東1.5352)と共に双璧をなす。2019年にはインドに現地法人を設立するなど、グローバル展開も積極的に行っており、今後も成長が期待できる。

第3位のニッカトーはセラミック部材を製造する会社で、特にセラミックボールに強みがある。セラミックボールは、ベアリングや電子部品に必須な微細粉末材料を製造するためのボールミル(粉砕機)のボールとして使われる。高性能な電子部品の製造には必須の部材で、今後も需要は堅調に伸びると思われる。

第4位は東洋炭素。等方性黒鉛という黒鉛製品で世界トップのシェアを持つ。等方性黒鉛とは耐熱性、電気伝導性に優れ、薬品への耐性も高く、軽量で加工も容易といった特性を持つ素材だ。応用分野は広く、環境・エネルギー、航空・宇宙、エレクトロニクスなど、多くの最先端分野で必須の部材で、将来性もある。

今回取り上げた銘柄は、専門性の高い技術力を持ちつつ、最先端分野にもコミットしている企業だ。高い技術力を新しい分野で生かし、さらなる飛躍を期待したい。

技術力(特許価値)で割安株を探す方法

「企業が保有する特許の経済価値の総和と時価総額(株価)には相関がある」という仮説に基づき割安株を探す。特許の経済価値は工藤一郎国際特許事務所が開発したYK値を用いる。YK値は、特許出願に対するライバル社からの成立阻止アクションにかかるコストから算出する。

独自に選んだテーマごとに各社のYK値と時価総額を上図のような軸を持つグラフにマッピングすると、妥当と思われる近似曲線が浮かび上がる。この近似曲線から左に大きく離れている企業(図ではA社)は、特許価値、つまり技術力比で時価総額が低い(割安)と考えられる。
工藤一郎国際特許事務所によると、A社の位置は2年ほどかけて近似曲線に近づいていく傾向がある。これは、特許技術が製品化されて収益に寄与。時価総額が膨らむためと考えられる。この連載では、業種ごとの近似曲線から、左への乖離が大きいほど、株価が割安な銘柄として扱う。
工藤一郎(くどう・いちろう)


弁理士。工藤一郎国際特許事務所所長。特許の経済的価値の数値化や、特許価値の比較を容易にする技術業種分類などを開発。

[日経マネー2020年5月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年5月号 1万円からの勝てる株式投資入門

著者 :
出版 : 日経BP
価格 : 750円 (税込み)

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