マンション価格、株価に連動? コロナ禍の住宅購入

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2020/4/13 2:00
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マンションを中心に高騰してきた住宅価格は転機にきたとの見方が出ている(都内の高層マンション群)

マンションを中心に高騰してきた住宅価格は転機にきたとの見方が出ている(都内の高層マンション群)

新型コロナウイルス感染拡大の影響が住宅市場にも及び始めた。売買や建設などの現場で混乱が続き、消費者の買い控えが広がりつつある。マンションを中心に高騰してきた住宅価格は上昇が一服するとの予想も出てきた。価格が下がればこれから買う人にとって費用が安くなるメリットはあるが、どんな点に注意すればいいのだろうか。

■じわり広がる買い控え

「部屋を引き渡す前に隅々まで消毒してほしい」。3月下旬、都内の不動産会社にこんな連絡が入った。中古マンションを仲介し、成約する予定の顧客からだった。「気持ちは分かるが、どこまで消毒すれば納得してもらえるのか」と担当者は困惑する。ほかの案件では商談の延期が相次ぎ需要蒸発を実感するという。

買い手の意欲に水が差されているのは新築も同じ。洗面台や台所など住宅設備の部品は中国で生産することが多く、工場停止や稼働率の低下で入荷が遅れている。「トイレで数週間遅れになる例があり、解消するメドは完全には立っていない」とTOTOでは話す。

新居の完成時期が読めないのは購入予定者にとって頭の痛いところ。引っ越しや子どもの転校といった生活プランを立てにくいだけでなく、当面の住まいの確保などで予定外の出費をすることにもなりかねない。

■価格高騰一服か

不動産経済研究所(東京・新宿)によると2019年の首都圏新築マンションの平均価格は5980万円と1990年に次ぐ29年ぶりの高水準となった。高騰した新築を避けて中古マンションを探す人が増え、中古の価格も上昇している。

ただ足元で上昇基調が変わる可能性が出てきた。「都心の中古マンション価格は15~20%ほど下落してもおかしくはない」。不動産コンサルティング会社、さくら事務所(東京・渋谷)の長嶋修会長はこう話す。

都心の中古マンションを買う高所得者層は一般に株式も保有する人が多く、株価が上がれば投資余力が増すことでマンション需要が増え、逆に下がれば減る傾向があるという。感染拡大が早期に収まる見通しは立っていないため、株式相場は当面不安定な動きになる公算が大きい。マンション価格も調整しそうというのが長嶋氏の見立てだ。

新築マンションはどうか。分譲会社は通常、価格維持を狙って売り急がないため値下がりしにくいが、気になるのが2020年東京五輪・パラリンピックの延期の影響。選手村を再開発するマンション「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)」(東京・中央)は分譲戸数4千超の大型物件で、住宅需要の動向を占う試金石とされている。

19年夏からの第1期販売は好調だったが、20年3月下旬に予定していた第2期販売は延期され、販売再開の時期も未定となった。マンション需給が締まるとの見方がある一方、入居時期が不透明になったため需要が減るとの予想もある。不動産会社コンドミニアム・アセットマネジメント(東京・中央)の渕ノ上弘和・代表は「需要が低迷すれば、販売価格が下がることもあり得る」と話す。

住宅価格は新築マンションがけん引するかたちで中古マンションや戸建ても上昇してきた。「新築マンションの価格が下がれば市場全体に波及し、従来より買いやすくなる」と渕ノ上氏は話す。緊急経済対策で住宅ローン減税特例を受ける際の入居期限が延びたことも背中を押しそうだ。

■資金計画、物件選びを吟味

しかし安易な購入は避けたい。コロナで従来の常識が通用しないケースがあるからだ。例えば住宅ローン金利。景気が低迷すると下がるのが一般的だが、4月の全期間固定型「フラット35」は買取型の主力タイプで最低金利が前月比0.06%高い1.3%となった。10年固定型なども一部で上昇した。金融市場が荒れるなか国債も現金確保のため売られ、住宅ローン金利を決める際の目安となる新発10年物国債利回りが上昇(価格は下落)したためだ。

景気低迷が長引く可能性があることも要注意だ。減収や失業などでローンの返済が滞る例が増えると、金融機関は審査を厳格にするのが一般的。店頭などで表示する住宅ローン金利が下がっても、実際に借りる際の条件は返済能力に応じて決まるため、表示金利より高くなる場合がある。

渕ノ上氏は「より慎重な資金計画が必要」と話す。ポイントは返済額が年収に占める比率。借りる際は一般に「25~40%以下」が目安だが、借りた後に減収になってもこの比率に収まるかを試算しておこう。

物件選びも大切だ。テレワークが広がれば、多くの人は自宅や自宅周辺での時間が増える。「利便性や周辺環境がシビアに評価され資産価値は二極化が加速する」と長嶋氏はみている。

(堀大介、成瀬美和)

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