緊急事態宣言、1カ月自粛に戸惑いも ドキュメント

2020/4/8 17:17 (2020/4/8 21:11更新)
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新型コロナウイルスの感染者急増を受け、政府は7都府県を対象に緊急事態宣言を発令した。期限は約1カ月。これまでと変わらぬ出勤風景もあったが、対象地域となった東京など各地の夜はいつもと違って見えた。8日から休業する店も現れるなか、どこまで自粛をすればいいのか、戸惑いが広がった。

■午後7時半 東京・蒲田

飲食店街の見回りをする東京都大田区の職員(東京・蒲田)=柏原敬樹撮影

飲食店街の見回りをする東京都大田区の職員(東京・蒲田)=柏原敬樹撮影

東京都大田区の職員が東京・蒲田の飲食店街「バーボンロード」の見回りをしていた。営業中の店は半分ほど。手持ち無沙汰な様子で暗い路地を進んでいった。

■午後7時20分 東京・池袋

営業を続ける家電量販店(東京・池袋)=小園雅之撮影

営業を続ける家電量販店(東京・池袋)=小園雅之撮影

東京・池袋では百貨店などが食料品フロアを除いて全館休業するなか、家電量販店は営業を続けていた。ヤマダ電機は緊急事態宣言の対象の7都府県での営業時間を短縮する。

■午後7時すぎ 東京・渋谷

人影がまばらなJR渋谷駅前のスクランブル交差点=寺沢将幸撮影

人影がまばらなJR渋谷駅前のスクランブル交差点=寺沢将幸撮影

JR渋谷駅前のスクランブル交差点は人影がまばら。街頭モニターが映し出す映像広告の音が普段よりも大きく聞こえるぐらい、街は静かだった。

■午後7時すぎ 福岡市

人通りが少なく、休業する店舗の空き地が目立つ中洲の屋台街。19店舗中5店舗のみが営業していた(8日夜、福岡市)=沢井慎也撮影

人通りが少なく、休業する店舗の空き地が目立つ中洲の屋台街。19店舗中5店舗のみが営業していた(8日夜、福岡市)=沢井慎也撮影

中洲の屋台街では、19店舗中5店舗だけが営業を続けていた。普段なら仕事帰りのビジネスマンや観光客らでにぎわう通りも人影はまばらで、従業員らが店先に立って呼び込みをかけていた。ラーメンなどを提供する屋台の男性従業員(25)は「全く商売にならないが、休業しても賃金補償があるわけではない。当面は店を開けるしかない」とこぼした。

■午後7時ごろ 東京・丸の内

仕事を終え、駅に向かう人も普段よりは少なかった(東京駅前)

仕事を終え、駅に向かう人も普段よりは少なかった(東京駅前)

東京駅前は普段より人が少ないものの、仕事を終えた会社員らがぞろぞろと駅に吸い込まれていった。法律事務所勤務の男性(45)は9日からの在宅勤務に備えて、弁護士への電話転送の設定などを済ませて事務所を出た。「裁判の期日は延期となり、在宅期間中はそこまで忙しくなさそう。事務仕事をしっかりしつつ、読書など自己研鑽もできれば」と前向きに話した。

■午後7時 さいたま市

JR大宮駅東口

JR大宮駅東口

埼玉県内のターミナル駅であるJR大宮駅の東口。周辺はオフィスが集まり、本来なら歓迎会などで飲食街は活気に溢れる。客引きの若い男性らが通り沿いに並ぶが、仕事帰りの会社員らは足早に駅に向かう。

さいたま市内まで電車通勤する会社員男性(30)は「趣味のアプリゲームを少しやったら、早めに帰ろうと思う」と話した。

■午後7時前 東京・荒川

JR西日暮里駅付近の様子

JR西日暮里駅付近の様子

JR西日暮里駅付近。居酒屋で飲食する人も一定数いたが、同僚と居酒屋に訪れた都内の50代男性会社員は「早めに店を出るつもりだ」。同駅が自宅の最寄りである別の男性会社員(38)は「いつもは酒を立ち飲みしてから帰るが、当面は控える」と話した。

■午後6時40分ごろ 東京・新橋SL広場

終業後はにぎわうSL広場も閑散としていた(東京都港区)

終業後はにぎわうSL広場も閑散としていた(東京都港区)

SL広場は足早に帰宅する人の姿しか見られない。横浜市に住む会社員の男性(51)は「普段なら飲みに行くんだけど、会社からも自粛するようきつく言われているから」と苦笑い。この春就職したばかりの20代女性は「同期と愚痴を言ったり飲んだりしてストレス解消できないのが辛い」とこぼし、足取り重く家路についた。

■8日の東京都心 3月との比較

■午後6時半すぎ 東京・蒲田

JR蒲田駅近くの飲み屋街は多くが休業したが、のれんを掲げる店も(東京都大田区)

JR蒲田駅近くの飲み屋街は多くが休業したが、のれんを掲げる店も(東京都大田区)

東京都大田区の蒲田駅西口近くの飲み屋街には、在宅勤務とみられる私服姿の会社員らがちらほらとみえた。夜が深まるにつれ、のれんを掲げる店も。単身赴任中の男性会社員(59)は在宅勤務を終え、晩ご飯を食べようと、昨日も来た行きつけの店に向かったが「やはり閉まってるか……」と落胆。「7日と8日とでは人通りが全然違う。今日はチェーン店で食べるか、何か買って帰るしかなさそうだな」と呟いた。

■午後6時半 東京・渋谷

マスクがかけられた、JR渋谷駅前の銅像=寺沢将幸撮影

マスクがかけられた、JR渋谷駅前の銅像=寺沢将幸撮影

JR渋谷駅前にある銅像にマスクがかけられていた。通り過ぎる若者たちが「やばいー、かわいいー」と歓声を上げ、スマートフォンで撮影していた。

■午後6時20分 東京・歌舞伎町

ともるネオンとは対照的に、人の姿は少ない(東京・歌舞伎町)

ともるネオンとは対照的に、人の姿は少ない(東京・歌舞伎町)

日が傾き、ネオンが輝き始めた歌舞伎町。日本一の歓楽街にも酔客の姿はほとんどなく、呼び込みのスタッフが所在なげに談笑していた。時折、通りに立ち入る人もあったが、人の少ない歌舞伎町を物珍しそうにカメラに収めると、足早に立ち去っていった。

居酒屋の前で呼び込みをしていた男性は、「最近はずっとこんな感じだったが、緊急事態宣言でとどめを刺された感じ。正直、たまらない」と苦笑いした。

■午後6時10分 東京・霞が関

普段よりは電気の灯る部屋が少ない(東京・千代田)

普段よりは電気の灯る部屋が少ない(東京・千代田)

官公庁はちらほらと電気が灯り始めた。「これでも普段の半分以下ですよ」と文科省職員。7日までは緊急経済対策のとりまとめで各省庁が不夜城だった。

■午後6時 東京・上野

密集を避け、夜空の下で缶ビール(東京・上野)

密集を避け、夜空の下で缶ビール(東京・上野)

JR上野駅パンダ橋口では、仕事帰りのサラリーマンらが夜空の下、缶ビールとつまみで立ち飲みする姿が目立った。

「ここなら『3密』じゃないよね」。近くのコンビニ店員の30代女性は同僚2人と帰宅途中に立ち寄ってビール缶を空けた。勤務先のコンビニにはマスクを求めて血相を変えた客が連日押し掛け、接客のストレスはピークという。「緊急事態宣言が出ても、食料の供給を支えるのは私たちですから」。明日の勤務があるからと3人はほどなく解散し、ほろ酔いで家路に向かった。

■午後5時過ぎ 埼玉県川越市

蔵づくりの街並みで知られる埼玉県川越市

蔵づくりの街並みで知られる埼玉県川越市

蔵造りの街で知られる川越市。普段は街歩きを楽しむ国内外からの観光客が多いが、車が通行するだけで歩行者はほとんどいない。

散策していた女子大生(18)は東京都内の大学に入学するため、沖縄県から上京してきたばかりだ。授業はオンラインで受けるが「高い家賃を払って、何のために上京してきたのかわからない」と肩を落とす。

一緒に散策しに来た同級生とは初対面。学校の再開のメドが立たないなか連絡を取り合い、少人数で会うことになったという。「地元に帰ることもできず、家に引きこもってばかりで息苦しかった。リフレッシュになった」と笑顔で話した。

■午後6時 東京・新橋

閑散とする飲食店街(東京都港区)=柏原敬樹撮影

閑散とする飲食店街(東京都港区)=柏原敬樹撮影

閑散とする飲食店街で立ち尽くす呼び込みの男性=柏原敬樹撮影

閑散とする飲食店街で立ち尽くす呼び込みの男性=柏原敬樹撮影

仕事帰りの会社員らがまっすぐに駅へと向かう。閑散とする飲食店街では中華料理店の店員が立ち尽くしていた。料理長の男性(65)は「まだひとりもお客が来ない」と独りごちた。

■午後5時 東京・大田

町工場はいつも通りの風景だった(8日、東京都大田区)

町工場はいつも通りの風景だった(8日、東京都大田区)

約3500の町工場が密集する大田区の工場団地は作業服を着た従業員らが慌ただしく出入りする姿がみられ、いつも通りの風景が広がっていた。金属が擦れる音や、機械の音が鳴り響いていた。 ある建設業の男性従業員は「緊急事態宣言があろうと、現場がある限り何も変わらないよ」と言い切る。

製造業の斎藤遠心機工業は午後4時半にシャッターを閉めた。通常時は午後5時までだが、満員電車での感染を防止するため時差出勤を実施。残業は禁止にした。斎藤晃部長は「マレーシアにある協力会社はロックダウンが始まり生産が止まっている状態。残業ができないため納期が間に合うかどうか心配だ。資金繰りも厳しくなってきた」と嘆く。新型コロナに対応した日本政策金融公庫等の特別貸付などを活用する予定。「借りられるときに借りて、手は打っておかなければ...」と話した。

■午後5時 東京・御茶ノ水

駅前も学生の姿はほとんどない(東京・千代田)

駅前も学生の姿はほとんどない(東京・千代田)

予備校や大学が集まるJR御茶ノ水駅(東京・千代田)周辺も人は少なく、普段街を活気づけている学生の姿はほとんどみられなかった。複数の校舎がある駿台予備校では春期講習を中止。明治大学もキャンパスへの入構制限を行っている。

駅近くの喫茶店の男性店員は「いつもなら、受験生や大学生が席で勉強しているのに」と戸惑っていた。

■午後4時50分 東京・丸の内

帰宅のため東京駅に向かう人たち(8日、東京・丸の内)=柏原敬樹撮影

帰宅のため東京駅に向かう人たち(8日、東京・丸の内)=柏原敬樹撮影

東京駅に向かう人たちの姿が増えてきた。家路に向かう人の流れはいつもと変わらない様子だった。

■午後4時半すぎ 東京都庁

小池百合子知事は市長会とのテレビ会議を行った

小池百合子知事は市長会とのテレビ会議を行った

東京都の小池百合子知事は第1庁舎9階にあるオペレーションルームで都市長会とのテレビ会議を行い「これは命の問題であることから、一人ひとりの行動が関わっているという啓発を引き続きよろしくお願いする」と述べた。

市長からはマスクなどの衛生消耗品の確保や、休校措置の延期に関して都の対策を求める声があがり、小池氏は時折メモを取り、うなずきながら市長らの意見に耳を傾けた。

■午後4時半 東京・千代田

家電量販店のウイルス対策やテレワーク向け商品のコーナー(8日午後、東京・千代田)

家電量販店のウイルス対策やテレワーク向け商品のコーナー(8日午後、東京・千代田)

千代田区の家電量販店は、ウイルス対策やテレワークに役立つ商品を並べたコーナーを店頭に設置。店員によると特にウェブカメラなどテレワーク向けの商品について問い合わせが殺到しており、30代の男性客は「ルーターを探しに来たが目当ての商品の在庫がなかった」と嘆いた。

■午後4時半 埼玉県川越市

JR川越駅近くのクレアモール商店街(埼玉県川越市)

JR川越駅近くのクレアモール商店街(埼玉県川越市)

埼玉県内有数の通行量を誇る埼玉県川越市のクレアモール商店街。大手チェーン店を中心に休業する店舗もあるが、靴屋や洋服店など営業を続けている個人店が目立った。

60年以上菓子店を経営している女性店主は「3月でも若い人が多く店の前を通ったが、志村けんさんが亡くなった報道後はめっきり減った」と話す。店の売り上げは昨年より減り、現在は営業時間を短縮しているが「いつも利用してくれているお客さんがいる。身体に無理しないようにしながら、今後もお店を開いていきたい」考えだ。

■午後4時すぎ 東京・文京

東京都文京区の美容院は感染防止のため予約客に絞り、座席の間隔を空けるなどの対策をとっている。

東京都文京区の美容院は感染防止のため予約客に絞り、座席の間隔を空けるなどの対策をとっている。

文京区の美容院では感染防止のため予約客に絞って営業を続けた。座席の間隔を空け、客にも検温やアルコール消毒を求めた。近所に住む常連の女性(41)は8日午後、髪の色をピンク色に染めようと訪れた。「コロナで塞ぐ気持ちを明るくしたい。緊急事態宣言で外出もできず、どうせ誰にも会わないから思い切って派手な髪色にする!」と目を輝かせた。

■午後3時半すぎ 大阪・阿倍野

臨時休業している階に客が入れないよう、ついたてが置かれた(大阪市阿倍野区の近鉄百貨店)=目良友樹撮影

臨時休業している階に客が入れないよう、ついたてが置かれた(大阪市阿倍野区の近鉄百貨店)=目良友樹撮影

大阪市阿倍野区の近鉄百貨店は地下の食料品フロアのみ営業する。エスカレーターにはついたてが置かれ、客が臨時休業している階に行けないようになっていた。

■午後3時半 東京・日本橋

シャッターが閉まった三越日本橋本店(東京都中央区)=樋口慧撮影

シャッターが閉まった三越日本橋本店(東京都中央区)=樋口慧撮影

東京都中央区にある三越日本橋本店の巨大なシャッターが閉まっていた。8日から当面の間、臨時休業する。

■午後3時すぎ 東京都港区

透明な仕切り越しに接客するコンビニエンスストアの従業員(東京都港区)=野岡香里那撮影

透明な仕切り越しに接客するコンビニエンスストアの従業員(東京都港区)=野岡香里那撮影

東京都港区のセブンイレブンでは感染防止のためレジの前には透明な仕切りが作られていた。床にはレジ待ちの客が過度な接近をしないよう、約60センチ間隔で並ぶことを促すサインが設置されていた。

■午後3時すぎ 大阪市

大阪府庁で記者会見する吉村洋文知事(8日午後3時すぎ)

大阪府庁で記者会見する吉村洋文知事(8日午後3時すぎ)

大阪府の吉村洋文知事が府庁で記者会見し、「ご自身の命、大切な人の命を守るために、5月6日までは外出とイベントの自粛をお願いしたい」と改めて府民に協力を求めた。

今回の外出などの自粛要請が、海外で行われているロックダウン(都市封鎖)ではないと強調。「食料品や物資が不足しているわけではない。買い占めをしないよう落ち着いた行動をお願いする」と呼びかけた。

■午後3時ごろ 東京・戸越銀座

戸越銀座のパン屋では、平常営業が続く

戸越銀座のパン屋では、平常営業が続く

食料品など生活必需品を扱う店が多くそろう戸越銀座の商店街では、子供連れの買い物客らが多く見られた。パン屋の男性店主(73)は、「人通りは前よりは減ったが、在宅勤務が増えたからか、普段会社に行っていてこの辺にはいないはずの人たちも買いに来てくれる」と意外な需要に驚いた様子だった。

■午後3時ごろ 埼玉県越谷市

入学式は両親が欠席を決めた(埼玉県越谷市)

入学式は両親が欠席を決めた(埼玉県越谷市)

民家前では午後3時、新1年生になる男児がスーツを着てピカピカのランドセルを背負い、母親のカメラに向かってポーズをとった。この日市内では入学式が開かれたが、両親は「感染者が日々増える中安心して送り出せない」と悩んだ末に欠席を決めた。家族でお祝いし、記念撮影もした。男児は「1年生になれたんだね!」と満面の笑みを浮かべた。

■午後3時 東京・八重洲

株価ボードを見つめる人たち(東京・八重洲)

株価ボードを見つめる人たち(東京・八重洲)

取引終了を迎えた午後3時、株価ボードを見つめ、60代の不動産会社役員の男性は「いつ底値がくるか」とつぶやいた。「ここから先は徐々に経済が上向いていくと思っている。資金の余裕があれば株を買い足したい」と話した。

■午後2時20分 千葉県館山市

満開のポピーの撤去作業が進む(千葉県館山市)

満開のポピーの撤去作業が進む(千葉県館山市)

館山市のファミリーパークでは、満開のポピーの撤去作業が進められた。昨年の一連の災害の被害を乗り越え客足が戻ってきたところだったが、7日の緊急事態宣言を受けて8日から休園に。長谷川元喜支配人は「やっとの思いで花を咲かせたところでの休園になり、言葉にならない」と話した。

■午後2時20分 東京・池袋

行き交う人の姿はまばらだ(東京・豊島区)

行き交う人の姿はまばらだ(東京・豊島区)

いつもなら多くの若者でごった返す池袋駅周辺も、人の姿はまばらだ。5月6日まで全店舗での休業を決めたラウンドワンをはじめ、多くのレジャー施設がシャッターを下ろしていた。営業するゲームセンターもあったが、店内はガラガラ。マスク姿の女性店員は「景品を補充する必要もないくらい」と苦笑した。

■午後2時 神戸市

記者会見する神戸市の久元喜造市長

記者会見する神戸市の久元喜造市長

神戸市の久元喜造市長は、市役所14階の大会議室で記者会見し、25年前の阪神大震災を引き合いに出して「震災以来の大きな危機。同じ使命感と気持ちをもって全力で対応したい」と話した。

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