鴻海、米で人工呼吸器生産 新型コロナで需要増

2020/4/8 15:40
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米工場の起工式でトランプ大統領(左)と握手する鴻海の郭台銘氏(18年6月、米ウィスコンシン州)=ロイター

米工場の起工式でトランプ大統領(左)と握手する鴻海の郭台銘氏(18年6月、米ウィスコンシン州)=ロイター

【台北=伊原健作】電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は8日、米国で人工呼吸器の生産に乗り出すと表明した。アイルランドの医療機器大手・メドトロニックと協力し、液晶パネル工場を建設中の米中西部ウィスコンシン州で生産する。米では新型コロナウイルスの感染拡大で人工呼吸器が不足しており、鴻海はトランプ米政権との関係強化につなげる構えだ。

鴻海によるとメドトロニックとの協力は鴻海創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)氏が主導し、既に生産準備を進めている。メドトロニックのオマー・イシュラック最高経営責任者(CEO)も直近で米CNBCの取材に対しこの計画を明かし、5月に量産を始めると表明した。同社は鴻海以外の企業とも協力し、6月末までには米で1週間に千台以上を生産できる体制を整える方針という。

鴻海の郭氏は17年に米ホワイトハウスでトランプ氏と共同会見し、100億ドル(約1兆1000億円)を投じて米ウィスコンシン州に産業拠点を築くと表明した。当初計画では超大型のガラス基板を使う液晶パネル工場が中核になるはずだったが、中国勢の増産攻勢で事業環境が悪化し、内容を大幅に変更していた。

直近では中小型の液晶パネル工場のほか、人工知能(AI)や医療機器など幅広い分野の研究開発・機器生産を模索していた。鴻海は今回の人工呼吸器の製造を、米での医療機器事業の立ち上げにつなげる狙いもありそうだ。医療分野では超高精細の「8K」技術など傘下のシャープの技術を活用する方針を示しており、同社にも影響が出る可能性がある。

鴻海はトランプ政権やウィスコンシン州政府との関係強化も課題だった。投資や現地での雇用を前提に、州政府などから減税などで最大40億ドルの補助を受ける契約を結んでいた。ただ人材不足や投資内容の変更で計画が思うように進まず、米メディアなどで疑問の声が出ていた。

同州のトニー・エバーズ知事は18年以降に何度も補助の見直しを表明し、鴻海は交渉を続けている。今回は新型コロナに絡み米社会への貢献をアピールすることで、米側との関係を改善する狙いが透ける。

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