ブロック塀から木製柵への取り換え広がる 地震による倒壊相次ぐ
地震によるブロック塀倒壊が後を絶たないことを受け、ブロック塀から木製柵に取り換える動きが広がりつつある。軽量なため倒壊しても比較的安全なほか、国産木材の消費にもつながるとしている。山形県や東京都などが積極的に公共施設に導入している。

山形県は2019年3月、県立の障害児入所施設「やまなみ学園」(長井市)で、隣の住宅に面したグラウンドのブロック塀を撤去し、長さ約45メートル、高さ1.5メートルの県産スギ材の柵を設けた。
防腐処理で耐久性を高めるとともに、コンクリート製の基礎工事を施し耐震性を確保した。
18年6月に大阪府北部地震で大阪府高槻市立小の塀が倒壊し小学4年の女児(当時9)が亡くなった事故を受けた対策の一環で、山形県は駐在所2カ所や園芸試験場も同様に取り換えた。
このほか、東京都も19年度、国立高校(国立市)で屋外プールを囲むブロック塀を木製柵にするなど、都立高計6校に導入した。山形県森林ノミクス推進課の担当者は「景観が良いと評価する住民の声がある」と話す。
一方、全国建築コンクリートブロック工業会(東京)の柳沢佳雄会長は、倒壊の原因は不良工事だとし「実験では、適切なブロック塀は震度7に耐えた」と指摘する。古賀一八元福岡大教授(建築防災学)も「ブロック塀には火や強風に耐える防災機能もある。用途を踏まえて判断してほしい」と話している。
〔共同〕