/

緊急事態宣言の効果や課題は 専門家に聞く

記者会見で緊急事態宣言への協力を呼びかける安倍首相。記者の間隔を広く空けて行われた(7日、首相官邸)

政府の緊急事態宣言による感染拡大防止への効果や、懸念されている医療崩壊を防ぐ手立てなど今後の課題を専門家に聞いた。

「効果確認には時間」 中島一敏・大東文化大教授(予防医学)

社会全体で人と人との接触数が減れば新たな感染者を減らす効果が期待できる。ただし、外出自粛などの効果を患者数から確認するには2~3週間かかる。新型コロナウイルスに感染してもすぐに症状が現れるわけではなく、潜伏期間や、発症後のPCR検査で感染が把握できるようになるまでの時間を考慮する必要があるからだ。

長期の強い要請は経済的な影響も大きい。事前にどこまで丁寧に目的や具体的な対策内容、期間などを説明できたかどうかが社会の混乱の有無を左右するだろう。

「若者に社会的リスク提示を」 石井健一・文教大教授(情報行動学)

「行動自粛」という要請ベースの取り組みで、政府の狙いがどこまで達成できるかは分からない。我々が2月に実施したアンケートでは、人の多い場所に行かないと答えた人は60歳以上が6割だったが、40歳未満は3割にとどまった。

今は流行に対する社会の関心が大きく高まって意識が変化しているものの、特に感染しても軽症で済みやすい若い世代の行動を変えるには、医療崩壊や失業といった社会的なリスクを強く訴える必要があるのではないか。

「情報発信、多様な手法で」 福田充・日本大教授(危機管理学)

宣言を発令する意味は、「抜かずの宝刀」を抜くことで社会に恐怖感を与え、自粛を強化することにあるが、恐怖だけで始まる行動は長く続かない。生活物資が潤沢にあることを示す具体的なデータや、自粛が解除になるゴールの条件を示し、安心感も同時に与える必要がある。

これまでの日本政府の情報発信には課題も多い。例えば、台湾では不眠不休で対応にあたる政府対策本部長が「鉄人大臣」と高い支持を得ているが、日本には同様の顔役がいない。そのため、国から発信する情報への信頼度が落ちてしまっている。

緊急事態宣言は情報発信のあり方を見直すきっかけにもなるだろう。既に東京都知事の動画配信や、政府の専門家会議のメンバーらによるSNS(交流サイト)のアカウント開設が始まっている。こうした多様な手法で発信をすることで、情報源が多様化している国民に浸透しやすくなる。

「院内感染防止カギ」 寺嶋毅・東京歯科大教授(呼吸器病学)

宣言の発令で患者数の増加に歯止めがかかると考える。新型コロナの患者を受け入れていない病院の病床も使えるようになるだろう。医療崩壊を食い止めるうえで一定の効果が期待される。

今後は医療機能を低下させないため院内感染の防止が重要になる。コロナの患者に対応していないはずの医療従事者の感染が少なくない。少しでも感染が疑われる入院患者には、積極的にPCR検査を実施すべきだ。

海外ではマスクなど防護資材の不足のほか、医師や看護師の過密労働が院内感染を招く例もある。行政機関が責任を持って医療資源を適切に配分することも必要だ。

「コロナ重点医療機関の設置を」 竹田晋浩・ECMOnet代表

今後の重要な課題は中等症や重症の人を専門的に診療する重点医療機関の設置だ。新型コロナの対応に集中できるので、人工呼吸器や人工心肺装置(ECMO)の稼働率が向上し、感染防護具の消費量も削減できる。新型コロナと無関係の一般診療の維持にもつながる。

医療崩壊を防ぐために重要なのは人材の効率的な運用だ。重症の感染症患者の診療経験が豊富な医師や看護師は少ない。重点医療機関に重症患者が集まれば、夜間の患者の容体変化などに対応する人員を削減できる。各都道府県の実情に応じて最適な形を早期に検討する必要がある。

新型肺炎

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン