7都府県の学校再開11% 全国62%、教育格差懸念も
文部科学省は7日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため3月から休校していた学校の新学期対応の調査結果を公表した。政府が緊急事態宣言の対象とした東京や大阪など7都府県の公立の幼稚園や小中高校のうち「予定通り再開」と回答したのは11%にとどまった。全国では62%で、7都府県以外は85%だった。

6日時点の回答をとりまとめた。東京都は63の自治体のうち、島しょ部を除く56の自治体がすでに5月の大型連休明けまでの休校延長を決めていた。政府による緊急事態宣言の準備を受け、都教育委員会は同日付で島しょ部も含めて休校を要請した。
緊急事態宣言を踏まえ、文科省は各自治体が休校を判断する指針を改定し、宣言の対象地域で首長から要請があった場合、原則従うよう求めた。同省は「感染拡大への危機感から、7都府県に近接する自治体でも休校が増える可能性がある」とする一方、期間中は一律に休校するのではなく、感染防止策を十分に検討した上で登校日を設けるなどの対応も求めた。
各地域による対応の違いは、教育格差を生むとの懸念も上がっている。ある都立高校からは「大学受験に向けた学習レベルに差が出てしまうという生徒からの不安の声がある」との相談が文科省に寄せられた。小学校や中学校でも同様の不安が広がっているという。
このため、同省は7日に閣議決定した緊急経済対策で、小中学生が学校での授業と同様に家庭で学習できるよう遠隔授業の環境整備に2292億円を計上。2023年度までに小中学生に1人1台の通信端末を整備する計画を20年度までに前倒しするほか、高速通信環境が整っていない世帯にルーターを貸し出す。
7日の調査結果によると、開講を延期する大学や高等専門学校が約8割に上り、遠隔授業の実施を決定したか、検討している学校は約84%に上った。緊急経済対策では大学・高専向けの遠隔授業支援策にも27億円を計上した。

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